誤発注をいさめる証券取引清算機関

*以下のテキストは読者の方から筆者の誤認をご指摘いただき全面的に書き直したものです。ご指摘ありがとうございました。

みずほ証券の誤発注、現金で強制決済へ (Yahoo)
「決済日となる13日にも正式に決める。他の株主から株を借りて買い手に渡したりする方法は時間がかかり、株式市場への信頼低下が長期化するため、投資家に事実上、選択の余地を与えずに強制的に決済する異例の措置をとる方向だ。最終的な支払価格は、株式売買の決済保証を管理する公的機関の日本証券クリアリング機構が決める。同機構は天変地異や株券の不足が生じて決済が難しくなったときは、強制的に決済ルールを変更できる。」

証券取引法、156条の2をご覧下さい。

第156条の2

「有価証券債務引受業は、内閣総理大臣の免許を受けた株式会社でなければ、営んではならない。」

日本証券クリアリング機構は法改正で用意された、いわゆる精算機関です。

DVP(DeLivery VS Payment)つまり支払と受け渡しの同時履行時における決済リスクを削減するための制度的枠組みとして考えられました。

一括して清算を行う清算機関の存在が望ましいという判断のもとの制度です。

156条の2は平成14年に追加された条文で、証券取引清算機関を免許制とすると定めているものです。

実は証券会社そのものは免許制ではなく登録制なのです(28条)。

にもかかわらず156条の2が清算機関のほうを登録制よりも厳しい免許制としたのは、関わる相手方が多数に過ぎ、さらにそのリスクを集中的に担うこととなるため、証券会社本体よりも厳格な要件を証券取引法上、要求しているものです。

また同条に「株式会社でなければならない」とされているのは、そのほうが公益法人よりも精算機関として自由かつ機動的な対応が可能であると考えられたからです。

今回のみずほ証券の誤発注問題処理に、統一精算機関はまさにこの起動的対応を機能させようとしています。


法理メール?