原爆症の1号カルテとミームの指令

原爆症1号カルテ:英訳の報告書発見 症状経過克明に毎日新聞
「広島で被爆し、世界で初めて「原子爆弾症」と診断された女優、仲みどりさん(1945年に死去)のカルテの大半を英訳した報告書が、広島大学原爆放射線医科学研究所(原医研、広島市)に保管されていることが31日分かった。入院から死亡するまでの臨床経過が詳細に記述され、放射線による急性障害の症状がよく分かる内容。仲さんのカルテは、人体影響の客観的データとして、医学的、歴史的意義が高いとされるが、所在不明のため、内容は知られていなかった。」

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の前文をご覧下さい。

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律

(前文)

「昭和20年8月、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾という比類のない破壊兵器は、幾多の尊い生命を一瞬にして奪ったのみならず、たとい一命をとりとめた被爆者にも、生涯いやすことのできない傷跡と後遺症を残し、不安の中での生活をもたらした。(中略)また、我らは、再びこのような惨禍が繰り返されることがないようにとの固い決意の下、世界唯一の原子爆弾の被爆国として、核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和の確立を全世界に訴え続けてきた。ここに、被爆後50年のときを迎えるに当たり、我らは、核兵器の究極的廃絶に向けての決意を新たにし、原子爆弾の惨禍が繰り返されることのないよう、恒久の平和を念願するとともに・・・(後略)」 

何かを「燃やす」とは、物質が酸素とはげしく化合していることで、「爆発」はその燃えるスピードが凄まじく早いことです。

原子爆弾は原子の核に中性子をぶつけて人工的に破壊し、そこからまた中性子を飛び出させて他の原子の核を破壊することで連鎖急速に放射能やエネルギーを放出させてウランプルトニウムを燃やす鋼鉄の球です。

放出されるエネルギーが莫大なので、広島と長崎で暮らしていたたくさんの一般人は一瞬で炎を吸い込むことになったといいます。

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」は、それまでの、「原子爆弾被害者の医療等に関する法律」と、「原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律」を統一して平成6年に制定されました。

虐殺のウランに焼かれた方々に対して、国がこの法律で責任をもつことを定め医療・援護をしています。

私たちは、自分で自分自身の価値感をなかなか認められない弱い生き物です。

そのため自分の土地のチームを応援し、国の選手を応援することで自身の属性の勝利をそのアイデンティティに取り込もうと一生懸命になりますが、そこまでは生きていく上でのとてもささやかな習性だともいえます。

しかし一旦、自分の人種や階層という属性への偏執が強度になれば、自分を強化するのではなく、自分と異なる属性の他者を虐殺しようとする機能が私たちには標準装備されているようです。

ヒトラーもその著書、「わが闘争」のなかで、己の劣等感とアーリア人の優勢、ユダヤ人の劣勢を同時に主張しています。

極悲観的視点に立てば、私たちの歴史とは「属性を強化せよ」というミームの声を受けて地上で繰り返してきた虐殺の記録だとさえいえます。

そして己の属性がもっとも取り分を多く取るために、世界大戦という陣取り合戦はこれまで二回くりかえされました。

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律は、その前文で、「核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和の確立」を標榜していますが、大量虐殺という私たち人間のもつ古い因習は、どうやら最後まで断ち切ることができないようです。

今日も地下や海中の資源をめぐって美文美名の下、虐殺が繰り返されていることがそれを禍々しく証明しています。
 

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