アスベストで決算書を内装せよ

JR西、94%の駅で石綿使用 ホーム屋根や駅舎内装

JR西日本の管内計1216駅のうち、約94%にあたる1147駅のホームや駅舎で、アスベスト石綿)を屋根材や断熱材などとして使用していることが30日、わかった。同社は飛散防止措置をしており問題はないというが、使用状況の詳細な調査を進めている。」

石綿障害予防規則の第一条をご覧下さい。

第一条(事業者の責務)

事業者は、石綿による労働者の肺がん、中皮腫その他の健康障害を予防するため、作業方法の確立関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底その他必要な措置を講じ、もって、労働者の危険の防止の趣旨に反しない限りで、石綿にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最小限度にするよう努めなければならない。(以下略)」

石綿とは平たく言えば、石に含まれる極細の鉱物繊維のことです。

それは丈夫なうえに加工しやすく、しかもコストが安かったため、建材等にこれまで幅広く用いられてきました。

しかしそれが人体に吸い込まれて石綿、いわゆるアスベストの耐久性が裏目に出てしまうとそれは肺組織につき立ったままいつまでもそこに留まり、癌や悪性中皮腫の原因種ななってしまいます。

石綿障害予防規則はこの7月 1日に施行されたばかりの法律で、吹き付けアスベストが原則1975年に禁止されているため、現在もっとも危険な作業として想定される解体時の安全性を確保するため、独立制定されました。

安価で、加工しやすく、しかも施工後は丈夫で形状を変えない・・・これほど建築業・製造業にとって魅力的な素材はめったにないといってよいでしょう。

そのためアスベスト問題の本質は、実は「現在もアスベストか、それに似たような問題をもつ性質の代替品が密かに、しかも大量に使われ続けていることだ」ともささやかれています。

確実に利益が出るからです。

今後も今現在合法的に使われている資材の中に、実は非常に危険な物質が含有されていることを、科学が発見することがあるかもしれません。

アスベストだけに限って対処法を立法するだけでは、問題を生んでいく本質に迫れたとはいいきれません。

法が考慮すべきなのは、今月の売り上げばかりを追って決して従業員や顧客の10年後、20年後の健康問題を考えない、事業者の態度の正し方です。

より本質的な解決のためには、いかにJRといえども、危険物質と認識しながら放置する態度を何十年も続けた時には、商いがし難くなる法や規則や判例を積んでいくという、社会の側の努力が必要なのだと考えます。
 

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