観客はレフリーの振るまいを固唾を呑んで見守る

ライブドア、証券監視委に新株予約権の調査申し入れへ(読売新聞)

民事訴訟法247条をご覧ください。

第247条(自由心証主義)

「裁判所は,判決をするに当たり,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して,自由な心証により,事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。」 

相場操縦は証券取引法の159条によって禁止されています。

フェアでないことが許されるのなら、誰も株式市場に投資をしなくなるからです。

この条文をそのまま文言解釈すると、実はフジテレビは非常にまずい立場にあるといえます。

フジテレビ側に突然の大量新株発行が必要だったような新規事業計画などなかったことは誰の眼にも明らかだからです。

しかしながら、ことがTV局なので裁判所は単純判断できなくなります。

そこで登場するのが自由心証主義です。

自由心証主義とは裁判官が証拠採用方法を必ずしも限定されず、彼の自由な心証をもって判断できるとする考え方です。

そのほうがより真実に近づけると考えられているため採用されています。

証券取引法159条を乗り越えてもしフジテレビを勝たせようとするならこの民事訴訟法247条の幅をフルに利用する必要があります。

そしてその公算は非常に大きいと予測します。

ことがことだけに無理を通して道理を引っ込ませるのです。

ただし、そのことで根付くわが国の証券システム、さらには司法システムに対する無言の不信感は、ボディブローのように徐々に国家の求心力を侵食する危険があります。

TV局を保護する代償として「年をとることの先にあるのはパワーゲームを受け入れる諦めだけだ」という払拭できない複合感情を、傍観者一人一人の心に塗りつけかねません。

以上検討すると、もし堀江さんさえ納得できるのなら、ライブドアがフジテレビからの好条件提示による TOBに舞台袖で応じることが、全てをグレーのまま治める最善の落としどころではありそうです。

意外とそこに事態も向かっているのかもしれません。

法理メール?