ハスラーは唐突に豹変する

明治安田に業務停止命令へ 保険業法違反の疑い(産経新聞)

商法の678条をご覧ください。

第678条〔告知義務違反による契約解除〕 

「保険契約の当時保険契約者又は被保険者か悪意又は重大なる過失に因り重要なる事実を告けす又は重要なる事項に付き不実の事を告けたるときは保険者は契約の解除を為すことを得但保険者か其事実を知り又は過失に因りて之を知らさりしときは此限に在らす」

契約時には「2年たったら解約できない」という該保険会社の約款を見せながら、いざ支払いを要求すると商法678条を持ち出したのだそうです。

わが国の民法は私的自治の原則というものが支配していて,これはなるべく国の力を借りずに自分達で上手くやるよという考え方ですが、そのため契約について特に当事者同士が約束を交わしたときは、その内容は公序良俗に反しない範囲内で、極力尊重されます(契約自由の原則)。

そのため約款があるときは、それより上位概念である商法、あるいは商法を包含する民法の規定よりも、当事者同士の約款が優先して考慮されるというルールになります。

ところでもし民法の原則が私的自治でなく、公的自治だとしたらわれわれ一人一人の意思などどれほどのものでしょう。

おそらく紙より薄くなります。

そこからしますと私的自治の原則というものが最も深く表現しているのは、わが国では一人一人の意思をとーっても重んじますよということだと導かれます。

よって保険会社が支払いの段になり、突然約款を翻して商法を持ち出すことは、各契約者が該保険会社から、「お前など私的自治のテーブルに座らせるに値しないのだ」といわれたも同然の扱いとなります。
 

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