財閥は解体され株式は解放された

フジテレビ、ライブドアに対抗策 TOB目標を引き下げ(朝日新聞)

商法の241条第3項をご覧ください。

第241条〔株式相互保有の場合の議決権の制限〕

「会社,親会社及子会社又は子会社が他の株式会社の総株主の議決権の4分の1を超ゆる議決権又は他の有限会社の総社員の議決権の4分の1を超ゆる議決権を有する場合に於ては其の株式会社又は有限会社は其の有する会社又は親会社の株式に付ては議決権を有せず」

株式の相互保有とは、株式会社がたがいに相手方会社の株式を保有し合うことです。

身内企業同士で支配権を持ち回りにして、よそ者がグループの大きな権益に食い込んでこようとする事態を排斥する狙いがあります。

しかし株式の相互保有が度を越すと,子会社が親会社を支配するような非常に屈折した状況になり、結局株主を害することになります。

このため、上記 241条が相互保有を規制しています。

フジテレビ社がニッポン放送の発行済株式総数の4分の 1を超える株式を有する事態になった場合には,ニッポン放送はいくらフジテレビ会社の株式を有していても議決権を有しないことになり、フジテレビはニッポン放送という買い物についてきた豪華なオマケということにはならなくなります。

ここで思い出していただきたいのは戦後の財閥解体の意義です。

そこでは持株会社が解体され、財閥家族の企業への支配力が排除され、株式所有が分散化されました。

極端に偏った少数家族の手から離して株式会社というものが本分に従って正しく機能するように、またもや外国の力が必要だったのです。

解体しきれなかった企業グループが年々再編を進め、結果的に新しい時代の新しい形の君主になりつつあるのだとしたら、株主でない普通の人たちも無用の圧力を日々感じて生きる羽目になります。 
 


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