刑事訴訟法の317条をご覧ください。
第317条〔証拠裁判主義〕 事実の認定は、証拠による。 |
大昔、犯罪を犯したと疑われた人は熱湯に手を入れさせられ、手がただれなければ無罪とされました(神判)。
次に待っていたのは利害関係がたっぷり絡んだ、その土地のボスによる裁判制度です。
江戸時代に入ると一応ルールブック的ものを携えた裁判所的な奉行による白州裁きが開かれ、明治時代に入って列強に並ぶための大日本帝国憲法が公布されると、やっとそれに即して正式な裁判所が設けられました。
しかしそこでは警察や検察による拷問が当然のように行われ、最終的に天皇に仕える裁判官は、本質的に国民の味方と呼べる代物ではありませんでした。
敗戦により日本国憲法が公布されると、自白を強制するための拷問をなくすべく、自白だけでなく物的証拠があってはじめて犯罪事実の証明となるという方式がとられるようになりました。
これが刑事訴訟法317条、証拠裁判主義です。
警察官が指紋採取を捏造したことはこの意味で時代を逆行する悪い兆しです。
しかし、逆にその行為を警察組織が自ら明らかにしたことは良い兆しでもあります。
歴史を振り返りましたとおり、一進一退を繰り返して私達は必ず良い方向へ進みます。
ドーキンスによればわたしたちのからだはそのためのキャタピラなのですから。