全てを蔑ろにしてリヴァイアサンを呼び出そう

自転車事故で1300万円賠償命令 パート女性の後悔(産経関西)

「一方、被害女性は治療費のほとんどを自己負担し、後遺症などで仕事もできなくなり廃業。当然、加害者の対応は不誠実と映り、刑事告訴とともに損害賠償を求めて民事訴訟を起こした。パート女性は事故の約1カ月後、罰金刑を受けて15万円を納付。民事訴訟では地裁から出頭を2度命じられたが、「勤務先はぎりぎりの人数で交代できない。休んだら迷惑をかける」と放置したという。ところが今年7月21日夕方、パートから帰ると被害者の代理人弁護士から電話があり、「今日判決が出ました。賠償額は1300万円」と聞かされた。愕然(がくぜん)として「とてもじゃないけど払えない」と訴えたが、「法的には支払い義務がある」と告げられた。パート女性はすぐに弁護士に相談し、裁判期日に出頭しないと相手の言い分を認めたことになることを初めて聞かされたという。」

民事訴訟法の158条をご覧下さい。

158条(訴状等の陳述の擬制

「原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。」

 
 

民事訴訟において、当事者の一方がもし口頭弁論期日に欠席すると、その欠席の直接の法的効果として、出席した当事者の主張だけに基づいて欠席当事者に不利な内容の判決が言い渡されることも認められています。

これを欠席判決といいます。

裁判所から送られてくる訴状には、注意書が添えられており、それには、答弁書の提出期限と、答弁書の提出を怠り、期日に出頭しないと、欠席判決がなされることが書いてあります。

よって事の重大さは、受け取った人が誰であれ理解できるようになっています。

とはいえわたしたちの憲法は、その82条で、裁判の対審および判決を公開法廷で行うことを保障してはいます。

よって一方が欠席したまま不利な判決が出てしまうのは、一見重大な憲法違反のようにも見えます。

しかしながら対審という双方を審じんする機会は、法解釈条、呼出状を送達して与えればよいと解されています。

よって呼出送達を二度も受け取っている以上、欠席判決という残酷な状態も憲法に反することはないのです。

判決への控訴という道は残るものの、今回のような送達の事実を十分理解して無視した人にまで、わたしたちの法が進んで救済する道を作ろうとはしないでしょう。

わたしたちの法の容れ物は思いの外固く仕上げられているのです。

なぜならば、もし民事裁判という、わたしたち自身が同意した利害調整の仕組みに、わたしたち自身がないがしろにしてしまう態度をとるなら、それはとりもなおさずかつての剥き出しの権力による統治の時代への逆行を、不承不承許していくことにほかならないからです(私見)。

 

 

(以上参照資料)