暴動:減圧装置

韓国系社会に動揺 ロス暴動の悪夢再来防げ 米大学乱射 (産経新聞)
「韓国系社会の不安の背景には、1992年のロサンゼルス暴動で、韓国系社会が標的となった悪夢の記憶がある。ロサンゼルスの黒人団体はいち早く、韓国総領事館などに支援を表明する書簡を送るなど、今回の事件が人種的な緊張に結びつくことがないよう、行動を起こしている。」

刑法の77条をご覧下さい。

第77条

「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。

一  首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。

二  謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は三年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は一年以上十年以下の禁錮に処する。

三  付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、三年以下の禁錮に処する。 」 

1991年、ロサンゼルス、サウスセントラルのリカーストア、「エンパイアマーケット」で店番をしていた在米韓国人、斗順子(トウスンジャ)さんは、黒人少女がジュースを盗もうとしたため争いになり、体の大きな少女に殴り倒されたといいます。

順子さんは店から出て行こうとする少女の後頭部へ銃弾を発射しました。

少女は死亡。

時おりしもロドニーキングという黒人青年が白人警官の集団暴行を受けた裁判で、警察官の無罪が言い渡された日でもあり、黒人の人達のデモがこの事件を受けてコリアタウンにも向かってきました。

これがいわゆる記事中にある、斗順子事件の幕開けです。

この暴動でLAXは空を覆いつくす黒煙のため一本の滑走路しか使えず、全てのバス・鉄道は運行中止、学校には休校令が出されました。

3日間続いたロサンゼルスの暴動は、死者53名、火災5300ヶ所を引き起こした後、収束しました。

実は黒人の人達の怒りが韓国人街に集中したのは、LAPDが白人地域のガードに人員を集中させたためなのだといいます。(参照:アメリカ・コリアタウン 高賛侑 社会評論社

かつて東京都の公安条例が、検閲禁止条項に違反して違憲なのではないかが争われた裁判がありましたが、その結論の中で最高裁は、集団行動の特性についてこう述べています。

「この場合に平穏静粛な集団であっても、時に昂奮、激昂の渦中に巻きこまれ、甚だしい場合には一瞬にして暴徒と化し、勢いの赴くところ実力によって法と秩序を躁躍し、集団行動の指揮者はもちろん警察力を以てしても如何ともし得ないような事態に発展する危険が存在すること、群集心理の法則と現実の経験に徴して明らかである。

従って地方公共団体が、純粋な意味における表現といえる出版等についての事前規制である検閲が憲法21条2項によって禁止されているにかかわらず、

集団行動による表現の自由に関するかぎり、いわゆる『公安条例』を以て、地方的情況その他諸般の事情を十分考慮に入れ、不測の事態に備え、法と秩序を維持するに必要かつ最小限度の措置を事前に講ずることは、けだし止むを得ない」。(最高裁昭和35年7月20日大法廷判決)

随分、群衆は理由なく見下されているようです。

たしかにギュスターヴ ル・ボンもかつて著書「群衆心理」のなかで、群衆とは「第一に衝動的で、動揺しやすく、昂奮しやすく、第二に暗示を受けやすく、物事を軽々しく信じ、第三に感情が誇張的で、単純であり、第四に偏狭さと横暴さと保守的傾向があり、さらに第五にその徳性は暗示に応じてはるかに低下することも、はるかに向上することもある」といっています。

我が国の刑法77条も群衆の暴動を各論の先頭に置き、もっとも警戒すべき罪として重罪を用意しています。(かつてもっとも先頭にあった皇室に対する罪は削除されています)

その保護法益は、日本国家の存立にかかっており、うかうかと騒乱に乗っかってしまうのは憲法の定める統治の基本秩序を脅かしかねないからです。

 

 

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