特許庁で袂を分かて

新ブランド:「一澤信三郎帆布」がカバン発売へ(毎日新聞)
一澤帆布工業は、前会長の長男・信太郎氏と四男が代表取締役に就任。信三郎氏は昨年3月、長女に有限会社「一澤帆布加工所」を設立させ、一澤帆布工業の製造部門の全従業員を転籍させて製造を続けていた。信三郎氏によると、新ブランドは商標登録の手続き中。従来仕入れてきた布地を使うが、法的に問題にならないようデザインなども異なるという。」

商標法の第2条1項をご覧下さい。

第2条(定義等)

「この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」 

商標とは、特定商品やサービスを連想させるシンボルをいいます(私的定義)。

そして商標権とは、商品やサービスに関して登録したシンボルを独占的・排他的に利用し得る権利のことです。

商標権者には登録商標を独占的に使用する権利があり、侵害者に対しては禁止権を有しています。

商標には出所をはっきりさせる機能、品質を保証する機能、そしてもちろん広告宣伝機能が期待されます。

発明や意匠が人間の精神的創作活動の結果生じた無体財産であることに対して、商標は商品の製造・販売者が自己の商品を他人の業務にかかわる商品または役務と識別するために使用するマークです。

それは精神的創造活動の結果というよりも、営業上の信用が化体したものだといえます。(参照:図解による法律用語辞典 自由国民社

一澤帆布という京都の信頼ある鞄ブランドが、お家騒動によりその商標を分かつことになり、新たな商標が登録されました。

商標に関する争いとは、本質的にいって早い者勝ちのアイディア競争ではありません。

それは今後、消費者がどちらの商品を選んでいくのかにより、どちらの商標により大きな営業上の信用が化体しているのかを証明していくところにこそ存在するのです。

 

 

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