大量保有報告書という鈴の音が知らせる才能

ジェイコム株売買、個人で利益5億6千万円 24歳男性(朝日新聞)

みずほ証券ジェイコム株を大量に誤発注した問題で、東京・六本木に住む男性会社役員(24)が同株3701株を取得し、約5億6300万円の利益を得ていたことが15日、関東財務局に提出された大量保有報告書でわかった。」

証券取引法の27条の23をご覧下さい。

第27条の23〔株券等の大量保有報告書の提出・定義〕

「株券、新株予約権社債券その他の政令で定める有価証券で証券取引所に上場されているものの発行者である会社が発行者である対象有価証券の保有者で当該株券等に係るその株券等保有割合が百分の五を超えるものは、内閣府令で定めるところにより、株券等保有割合に関する事項、取得資金に関する事項、保有の目的その他の内閣府令で定める事項を記載した報告書を大量保有者となった日から五日以内に、内閣総理大臣に提出しなければならない。(以下略)」 

大量保有報告書とは、上場されている株券等の発行会社が発行する株券等を、発行済株式総数の5パーセントを超えて保有する大量保有者に金融庁へ提出させ、その状態を皆に明らかにするための書類です。

この根本的アイディアのことを5%ルール (So-Called 5% Rule) と呼び、日本には平成 2年の証券取引法改正で導入された国際ルールです。

株式会社とは、そもそもひとつのお金儲けのアイディアに対して少額資本を大量に市場から集めるため、会社に対するさまざまな権利を凄まじく細切れにして売り出しているものですから、モデルとしてたくさんの優秀なそり犬たちにひかれるそりにも似ています。

そりの乗り手としては、よりたくさんのそり犬に集まってもらうのは大歓迎ではあっても、突然一頭の巨大なそり犬(5%超)が現れ、そりの方向を右へ左へ引いていってしまう(仕手戦)のは歓迎していませんし、ほかのそり犬(株主)の購入したハーネス(株式)の価値もそりの行方によって大きく影響を受けます。

そのための警報装置が5%ルールです。

今回この5%ルールによって、わずか24歳の青年が約5億6300万円の利益を得たことが明るみにでました。

濡れ手に粟のような印象を受けますが、聞き及ぶところによれば28億1150万円の自己資金を青年は既にもっており、しかもそれをこの不規則事態の渦中に全額投入するという才覚も度胸も持ち合わせている人なのだそうです。

5%ルールはハーネスが非常に大きな固まりになったときをも知らせますが、と同時にそのハーネスをつけることができるずば抜けて強力な脚をもつそり犬の存在をも知らしめています。



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