ダーバン、表参道に「石津事務所」とのコラボブランド初路面店(シブヤ経済新聞)
「ダーバンは表参道に「ニブリック・バー表参道店」をオープン。同店は、アイビールックの「VAN」を手掛けていた石津事務所とのコラボレーションにより、同社が新しく展開するカジュアルブランド「Niblic(ニブリック)」初の路面店となるものもの。」
商標法の1条をご覧下さい。
第1条(目的) |
VANは1960年代、いわゆるアイビー・リーグと呼ばれるアメリカの名門大学連における保守的ファッションのルールを日本に展開した石津謙介さんのブランドでした。
ニブリックはそのVANがかつて発売していたブランドで、同社の倒産によって短命に終わった伝説の名門ブランドなのだそうです。
その商標をかつて保有していたのは石津謙介さんの長男石津祥介氏の事務所。
ダーバンは石津さんから商標を譲り受け、かつてVAN教に入信していた「ニブリック」という商標を聞くだけでピンとくる団塊世代の再取り込みを狙っているのだとか。
商標権者をしらべると、「ニブリック」が商標登録されたのが1980年。
現在の権利者氏名は確かに株式会社ダーバンとなっています。
石津謙介さんはファッションの細かいルールの中に思想・哲学を表現するトラディショナルファッションというものを終戦後にアメリカ人中尉から手ほどきを受け、ファッションという遊びのなんたるかに開眼したのだそうです。
倒産を経験したあとも死ぬまで粋人のなんたるかを表現しつづけたほどの石津謙介という思想であれば、戦後の日本の一時代を席巻したのもうなずけます。
商標法の1条の文言にもあるとおり、商標権は発明のようなアイディアそのものを保護するものではなく、商標が表現する商人の活動が残してきた信用を化体するものです。
だとすれば思想をファッションという遊びを通して表現しつづけた石津謙介さんの「ニブリック」という足跡(商標)をダーバンが買い付けることは、二重の意味で安い買い物だったかもしれません。