アトラクションの名は”社内の海賊”

オリエンタルランド、右翼関連企業に破格の利益(読売新聞)

東京ディズニーリゾートの運営会社「オリエンタルランド」(OLC)が、元暴力団幹部の右翼団体幹部が深く関係する不動産会社に本社社屋の清掃業務を委託し、昨年末までの7年間だけで総額約9億円を支払っていたことが19日、読売新聞の調べでわかった。」

商法の295条をご覧下さい。

第295条

「会社は何人に対しても株主の権利の行使に関し自己又は其の子会社の計算に於て財産上の利益を供与することを得ず」

株式会社というマネーメイキング・システムは、イギリスの発明品だと言われます。

イギリスがまだアメリカにわずか二つの植民地しか所有せず、世界の覇権国家といえばスペインを意味した時代、イギリス国内では囲い込み運動によって富を築いたジェントリーとよばれる階層が潤沢な資金を蓄えていました。

そこでこの資金を吸い上げれば、植民地経営の原資となると考えられ、広く遊休資金を集めるために考え出されたのが株式会社という発明品で、その第一号がかの有名な東インド会社というわけです。

その意味で必ずしも強者のイメージのない一般株主という存在は、その起源においてはある種の特権階級をさしていました。

株主が会社の小分け所有者だという商法上の解釈は、株主という階級の出自を表現しています。

各自株主は「株券を買う」という行為で株式会社に投資を行い、株式会社は結果的に集まる莫大な資金で個人ではできない商いを実行し、その上がりは約束通り出資者たる株主たちに配当されます。

その配当を株主が株式会社に適切に行使させる検証の場、それが株主総会です。

株主総会は国家でいえば、よく国会に例えられます。すなわち各議員(株主)の意思それぞれをいちいち反映させることは必ずしも全体の運営利益にならないため、実際の国家(会社)の舵取りは総理(代取)や大臣(取締役)に任せられ、彼らがなにかややこしいとこをやらかした場合には国会(株主総会)で責任を追及することで間接的に意思を反映させます。

ここに表れるのが総会屋、通称特殊株主です。

総会屋の仕事は株主総会という出資者の検証の場を荒らすことではありません。

堂々と会場に乗り込み、株主与党として、一人の個人株主が経営上疑問に思っている点についての質問をさせないところにあります。

すなわちその温床は、株式会社機関(取締役達)の株主軽視、あるいは無視の態度と、現状維持こそ是とする官僚的発想にあります(私見)。

改正商法により、株主の権利行使に関して財産上の利益の供与を禁止すること、または利益の供与を受けることの禁止およびその違反に対する罰則に関する規定が設けられました。

これによって総会屋の数は以前に比べれば減ったといわれますが、それでも暴力勢力と、大会社の継続的接触を知らせるニュースが改正後も切れ目なく出てくるというのは、暴力をもって株式会社をオーナーである株主達から切り離したい経営者達が未だその椅子にいる証しかもしれません。

野球とベースボールが未だ別物であるように、日本式「株式会社」がその本来の意味に成長するには、相当時間がかかりそうです。 
 

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