そこにいるのは自分の家族だと知れ

薬害エイズの元厚生省課長、2審も有罪判決(読売新聞)

東京高裁裁判長は「非加熱製剤に高度な危険性があることを把握した以上、その使用を控えさせる義務があった」と述べ、安全な加熱製剤承認後に感染した1人についてのみ有罪とした1審判決を支持、検察・弁護側双方の控訴を棄却した。 」

刑法の211条をご覧ください。

第211条〔業務上過失致死傷等〕

「1 業務上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も,同様とする。 (以下略)」

刑法では,わざとやらかした故意犯だけを罰するのが原則です。

うっかりやらかした過失犯に関しては、特に規定のある場合にだけ罰せられることになっています。

それだけにあえて「うっかりやらかした人でさえ罰する」とはっきり書いてある罪に関しては社会的にあらかじめ重大な業務責任が科せられていると考えられます。

それは約190ある刑法が決めた罪のなかで
・失火罪、
・過失激発物破裂罪、
・業務上重過失失火罪・業務上重過失激発物破裂罪、
・過失浸害罪、
・過失往来危険罪、
・過失傷害罪、
・過失致死罪、
・業務上重過失致死傷罪
以上のたった8条だけです。

元厚生省生物製剤課長という椅子に座るにあたり、業務に必要とされる予見義務を想起するのは普通の人にとってはそう難しくありません。

「汚染された非加熱血液製剤を投与されるのが、もし自分の家族ならどうすべきか?」

その椅子にすわるときは、ただそれだけをいつもイメージして仕事ができればよかったのですから。
 


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