東証は自らの処理能力の限界ゆえに時間外取引を取り付けた

時間外取引規制へ証券取引法を改正 金融庁が方針(朝日新聞)

証券取引法の27条の3をご覧ください。

第27条の3〔公開買付開始公告と届出等〕

前条第一項本文の規定により同項に規定する公開買付けによつて株券等の買付け等を行わなければならない者は、内閣府令で定めるところにより、当該公開買付けについて、その目的、買付け等の価格、買付予定の株券等の数、買付け等の期間その他の内閣府令で定める事項を、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載して公告しなければならない。

(意訳:もし市場外取引の公開買付だったら、市場外では不透明だから中身をみんなに明らかにしてよ。)

DOSアタックというのはハッカーが使った手法で、まだ処理速度がたいしたことのなかった時代のサーバに対して大量の処理要求を送りつけて落とすことをいいます(現在はDDOS)。

東証が設けていた時間外取引とはこれに似て、皆が売り買いしている途中でだれかが大量に買いや売りの注文を出すことで市場が大混乱に陥ることをさけるために97年から新設された制度だったそうです。

ただし東証のホームページ解説によれば、時間外取引といえども東証ToSTNeTというシステムを介するため、市場外取引に関する公開を定める27条の3をなんら踏み越えるものではありません。

それどころが東証という胴元が自らの都合で設けた迂回路である以上、「もともと機関投資家による大量売買や、グループ内の再編などしか想定しておらず、企業買収に使われることは想定していなかった」というがごときは、自分からケンカを始めておいて「まさか武器を持ち出すとは思わなかった」といってしまうほどの牧歌的な言い草です。

わたくしは昨今のこの大騒ぎを見聞きするにつけ、いったいメディアは、そして金融庁は、社会規律論をぶっているのか(ローカル・ルール)、あるいは数学の話をしているのか(グローバル・ルール)、まま混乱に陥ります。

少なくともわたくしの目には、できるだけ感情論にならないように平静な表情を用いているのは堀江さんに見えるのです。

フジテレビは27条の6〔公開買付条件等の変更の公告〕あたりから再読してはいかがでしょう。

政治力学でこの問題を収束させようとすることは、果たして後年になって「あの時代理屈が通じなかったね。」と語られる行儀ではないかと、それだけが心配です。
 
 

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