一太郎を家の外に出すなと裁判所は叫んだ

特許権侵害で「一太郎」「花子」の製造販売中止命じる(読売新聞)

特許法66条1項をご覧ください。

第66条(特許権の設定の登録)

特許権は、設定の登録により発生する。 

高部真規子裁判長はこれまで、永久磁石の材料を発明した日立金属の元主任研究員が発明に対する対価の支払いを受けていないと して同社に約1100万円の支払いを命じたことがあります。

また俳優の玉木宏の所属事務所が、携帯電話サイトに承諾なしに記事や写真を掲載されたとして白夜書房に1100万円の支払いを命じ、そして人工甘味料製法を開発した味の素の元社員の訴えに対し、1億8935万円の支払いを命じてきました。

いわば自由主義的な裁決を志向する裁判長のようにお見受けします。

古くからのPCユーザがとても驚いたのは一太郎が非常に良心的で歴史のあるソフトウエアだったからです。

マイクロソフト社のWORDがこれほど世の中にいきわたる前、日本語ワープロソフトといえば一太郎であり、「一太郎を使っているんですか?珍しいですね?」といわれればその方が自分より PC暦が浅いことが一言でわかったものです。

WORDを使うようになった私も、ATOKは使用していますし、結構そういう人は多いと思います。

たとえば現バージョンまでの損害は金銭で賠償させ、次バージョンからはヘルプボタン機能を使用しないという判例でも特許法66条の趣旨は否定されないと思うのですが、有無を言わさずこれを完全に廃棄せよという裁定には、理屈をぬきで驚きました。

いずれにせよ、富士通がヘルプボタン機能をもつこの世の数多のソフトウエアを全て提訴しはじめたら、それらにすべて本判例の理論が機能するのか、裁判所はそのあたりを十分に理解してその結論を出したのか。

そこからが一番の見ものです。
 

法理メール?