東京駅の空中権と失われる対価

新丸の内ビルが高層ビルに 東京駅の「空中権」使う

「東京駅周辺の約120ヘクタールは02年、国内で唯一の「特例容積率適用区域」に指定された。区域内では低層の東京駅が利用しない空中部分の容積率を別の場所に移して利用することが可能になった(朝日新聞)」

区分地上権の第269条の2をご覧下さい。

第269条の2

「1 地下又は空間は上下の範囲を定め工作物を所有する為め之を地上権の目的と為すことを得。此場合に於ては設定行為を以て地上権の行使の為めに土地の使用に制限を加ふることを得」

このお話は民法の問題ですが、空中権という条文はなく、これに対応するといわれるのが区分地上権の269条の2になります。

区分地上権は地下や空間に上下の範囲を定め工作物を所有するために設定された権利です。

地下鉄や高架線には地下や空間の利用が必要ですが、地上権や賃借権を使ってしまうと、すごーい高い位置やすごーく深い地中以外必要ないのにそこまでをふくめて地表から全部料金が発生してしまうのが無駄なので、一定程度離れた地下や空中だけを区切ってつかうために昭和41年に作られました。

立法趣旨は社会経済上の損失の防止というところにあると思われます(私見)。

ただ空中権という地上権の地上権、みたいな権利が認められると、そのうち高層権とか、超高層権とかいくらでも際限なく作れるような気がして東京駅の優れたデザインや時間的に封入された記憶は犠牲になりそうです。

たしかに社会経済上とても効率はよいのでしょうけど、対価があるとき、かならず差し出すものがあるわけです。

それが文化と呼ばれる物でない保障を、立法的に早急に取り付けたほうがいいように思います。
 

 
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