The Second Law:ユニクロが勝ったもの

障害者の雇用、ユニクロが1位…2位マック、3位しまむら(読売新聞)
「障害者雇用率が最も高かったのは、カジュアル衣料の「ユニクロ」の7・42%。656・5人(障害の重度や労働時間に応じ、1人の雇用を2人分と数えたり、0・5人分と数えたりする)を雇用し、全産業の平均1・52%を大幅に上回った。障害者雇用促進法は、企業などに障害者の最低限の雇用割合を定め、民間企業の法定雇用率は1・8%。」

障害者雇用促進法の37条をごらんください。

障害者の雇用の促進等に関する法律

第37条

「すべて事業主は、身体障害者又は知的障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで身体障害者又は知的障害者の雇入れに努めなければならない。」 

障害を持つ人を雇用しようという企業が多く出現することは、資本原理下の世界では基本的に難しいといえます。

しかし障害のある人への福祉の基本は、彼が職業人として自立するところにあるのもまた事実です。

そしてもし社会が両利益の調和を目指すなら、雇用の機会を社会に提供する社長さんに、資本主義という原理と社会福祉という原理のバランスをとる重要な役割を果たしてもらわなければなりません。

つまり37条にいう”社会連帯”とは、障害を持っている人を障害を持っているという理由だけで置き去りにしない社会をつくるため、民間、官公庁を問わず事業主が協力して彼らに一定の場を確保しようという理念だということになります。

さらに記事中にある雇用率とは、その社会連帯を各企業が雇用する労働者数に応じて平等に分担しようとして生み出された指針です。(参照:障害者雇用促進法の逐条解説 厚生労働省 職業安定局 高齢・障害者雇用対策部)

その数字のクリア率とは、すなわちその事業主が社会に於ける自分の役割をどの程度自覚しているのかを裏書きしているといえるかもしれません。

誰かが現実に動かなければ、現状維持あるいは衰退の道をたどらざるをえないのがエントロピー第二法則下にある社会の運命です。

そしてその熱力学法則に逆い社会が調和を取り戻すのは、「誰かとはわたしのことである」という主体性を、事業主を含めて多くの人が持った時だけに限られています。

 

 

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