原宿:階層のないテーマパーク

クールな原宿 少女の共通語(東京新聞)
「かつて日本の少女たちは、少女漫画に描かれた欧米の文化に憧れた。が、最近はこの傾向が逆転しているという。日本の「MANGA(漫画)」などに夢中の各国の少女たちは、これらのポップカルチャーの舞台となる東京・原宿こそ「世界一クールな街」と信じる。「原宿? すごく行きたい」米ニューヨーク市の大学生アナ・ハフナーさん(18)は勢い込む。CLAMPの漫画「ちょびっツ」が大のお気に入りというハフナーさんは今年、登場人物の服をイメージしてハロウィーンの衣装を作ったという。「日本の漫画は何より衣装がすごくすてき。原宿ファッションはアメリカじゃ手に入らないけど、古着屋を回ってストリートファッションを自分なりに作っている」と話しながら、原宿に行く日を夢見る。」

憲法の13条をご覧下さい。

第13条〔個人の尊重,生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕

「すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。」 

わたしたちには、憲法によって他人に迷惑を及ぼさないところまでは、自分の生き方を自分で決められる権利が認められています。

これを自己決定権とよびます。

自己決定権は憲法13条がうたう幸福を追求する権利で根拠づけられているといわれますが、個人が個人に関する決断を行う際の自由としては服装や髪形を自由にすることの他に自殺すること、治療を拒否することなどの自由があるものといわれています。

たとえば髪形の自由も憲法というもっとも上位にある法律で守られているのです・・・といいたいところですが、実はそのあたりに関しては学説は対立しています(多数説は髪形の自由も憲法上の人権であると判断します)

「髪形ほどのものを、大切な人権に入れてしまってよいのか」、あるいは「ささいなものだからこそ憲法の保障に入れておくべきだ」、または「いや髪形を好きに出来る自由こそ、人格形成にとって非常に重要な構成要素ゆえに保護すべきなのだ」という論争です。

いずれにせよ、身なりや髪形、よく考えればあるいは声の調子や果ては筆跡にいたるまで、わたしたちは自分というモノを24時間表現して生きています。

そして表現することは幸福を手にするための手段などではなく、時間を寸断すれば表現することは一種の幸福そのものであるといえ、そうすると自分のファッションを自分で決められるという自己決定権も、生きるため無視できない大切な要素であることには間違いないところでしょう。

洋服に関する西欧の様々なルールを無視して、自由なカタチを販売するお店が並ぶ竹下通りに、思わぬカタチで洋服の本家本元・西欧の若年層からも注目が集まっているそうです。

たとえばロンドンのサビルローストリートにあるお店の革靴は、もともと自分で車を運転するような人が履くようにはできていない(後部座席に座る専門の人の生活様式に合わせてある)のだといいます。

マニアックな古着屋やしのぎを削るヘアサロンばかりでなく、竹下通りをも巻き込んで発展する原宿は、海外の若者の目にはキングスロードやメルローズアベニューをすさまじく上回る規模の”服装に階層のないテーマパーク”のように写るのかもしれませんし、事実、いまだそうなのかもしれません。



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