ネパール人を前に刑訴法と入管法が胸倉をつかみ合った

東電女性社員殺害で無期判決のネパール人が再審を請求(日経新聞)

刑事訴訟法の345条をご覧ください。

第345条〔勾留状の失効〕 

「無罪、免訴、刑の免除、刑の執行猶予、公訴棄却、罰金又は科料の裁判の告知があったときは、勾留状は、その効力を失う。」

別名東電OL殺人事件と呼ばれる本件は、冤罪という声も絶えませんが、それとは別に刑訴法と入管法のバッティング問題がクローズアップされました。

刑訴法345条の趣旨は、身柄拘束の必要性が消滅したことを宣言した裁判所の判断を尊重し、人身の国家による強力な拘束を素早く解くところにあるものと考えられます(私見)。

しかし本件においてネパール人被告は1審で無罪判決を受けていますので、入管法による強制退去処分が当然進むであろうと思われていたところ、控訴審において再勾留が認められてしまっています。入管法と刑訴法の調整の不備だといわれています。

「帰せないから、即再勾留」では、何のための345条だという問題提起です。

これからもっと日本にはたくさんの不法滞在をする外国人が増えていくものと思われます。

確かに国外退去処分の頻発で3審制が機能しなくなるという危険はありますが、真実発見はシステムの命題、対して人権保障は命を賭けた歴史の命題であることだけは忘れていただきたくないものです。
 

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