分母を減らそう、ノルマをこなせるから

元夫の暴力、女性の訴え放置し時効…慰謝料求め提訴

「県警監察官室によると、同署の巡査部長が被害届を受けたが、2001年3月、異動で事件を警部補(35)に引き継いだ。警部補は時効成立後の2003年6月ごろ、捜査の失念に気付き、同署が監察官室に報告したが、警部補は口頭注意にとどまった(読売新聞)。」

刑事訴訟法、第189条をご覧ください。

第189条〔一般司法警察職員の捜査権〕

「警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員として職務を行う。
司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。

司法警察職員、いわゆる警察官は,刑事訴訟法の定める権限を行使刑事訴訟法上の第1次的な捜査機関です。

この次に控える捜査機関が検察官になります。

警察官が第一次的捜査機関であることの、警察組織そのものにとっての利点として、もし犯罪検挙率を上げたければ、第一次機関である司法警察職員の段階で事件受理しなければいいのです。

分母を小さくすれば数字が大きくなるという数学であり、かつ数字のみが成績である官公庁組織における存続の古典的方法論です。

空き交番の問題や闇資金の問題など、いたずらに各論に執着することは全く問題の解決にはつながりません。

警察学校を出た青年が、どういう圧力の下をたどれば被害届の申し送りを”し忘れる”慣習を身に着けざるを得なくなるのでしょうか。

私たちがここで知るべきなのは、いびつな行政を強いている力学的不均衡の出発点がどこにあるのかです。

そしてそれはかならずしも警察行政そのものにはなく、ことによるとわたしたち自身から始まっている問題である可能性さえあります。



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