CHINA FREE:一方の呪具

米社、「チャイナフリー」表示へ 中国産への不信受け(CNN)
「中国産食品や製品に対する不信感が世界的に増大するなか、米食品会社、フード・フォー・ヘルス・インターナショナル(本社・ユタ州オレム)はこのほど、商品に中国産の原材料が入っていないことを示す「チャイナフリー」のシールを導入すると発表した。同社は、自然食品や栄養補助食品サプリメント)、ペット用食品などを扱っている。「わが社の商品は、有機農産物を米国内で加工、包装している。化学薬品は加えていない」と、同社幹部は強調する。チャイナフリーのシールを付けることで、さらに安全性を印象付けるのが狙いだ。 フランク・デービス社長はロイター通信とのインタビューで、「中国産食品の問題が盛んに報じられ、消費者も不安を募らせているはずだ」と話した。チャイナフリーの表示は、同社の広告や販売促進キャンペーンにも使われるという。米国では今春、中国産原料を使ったペットフードで多数の犬やネコが死ぬ騒ぎがあり、その後も練り歯磨き剤や魚介類などへの有毒物質の混入が相次いで明るみに出ている。 」

GATTの9条をごらんください。

関税及び貿易に関する一般協定

第9条

「1 各締約国は、他の締約国の領域の産品の表示の要件に関し、第三国の同種の産品に許与する待遇より不利でない待遇を許与しなければならない。(以下略)」 

関税及び貿易に関する一般協定、いわゆるガットとは、英名 General Agreement on Tariffs and Trade の略称です。

それは、貿易の公平を図ろうとする協定のことです。

その9条、原産国表示規定は他国の商品が不当に冷遇されないよう協力しようとする協定です。

今回のニュースのように、他国の原産品の不良性という見聞から自国の商品を守るため、成分不混入という逆アピールを9条は想定していません。

むしろ米国の企業が CHINA FREE という表示を用いることは、一国が着せられる汚名として貿易一般協定の立法精神には抗うものとなるでしょう。(私見)

かといって国際協定上、原産地表示に関するルールも、ガット9条以外には見あたらないのです。

今日になって肉まんに段ボールが混入されていたというニュースはねつ造だったというニュースも聞こえてきました。

商人としての国家に不安があるとき、わたしたちにはそうした輸出国自身からの発表と、米国の企業がとったような輸入国自身による手立てという、二つの呪具だけが与えられています。

どちらの呪具が有効なのかは、やがて貿易という市場自身が原産国表示に関する国際協定という形で定めてはっきりするでしょう。

いずれにせよバーバ・ヤガーは、貿易に関して他の呪具を与えてくれてはいないのです。

 

 

法理メール?  * 発行人によるメールマガジンです。