車椅子の人、誰よりも早く宇宙を見てきて欲しい人

車イスのホーキング博士が無重力状態を体験(日テレNEWS24)
「「車イスの宇宙物理学者」として世界的に有名なイギリスのスティーブン・ホーキング博士が26日、長年の夢である宇宙旅行の第一歩として、無重力状態を体験した。「約40年間の車イス生活から解き放たれ、ついに無重力を体感するチャンスを得た」-著しい筋力の低下を引き起こす難病「ALS」のため、40年以上にわたり車イス生活を続けるホーキング博士は、アメリカ・フロリダ州ケネディ宇宙センター」から、無重力状態を体験するため戦闘機に搭乗した。この無重力状態は、高度1万メートルから2500メートルまで急降下することによって作り出されるもので、今回、博士は約4分間の無重力飛行を楽しんだ。ホーキング博士は、「無重力空間は素晴らしい。これから何度でもできそうだよ。宇宙よ、待っていてくれ」と話し、09年にも宇宙旅行に挑戦するという。」

宇宙条約の1条をごらんください。

月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約

第1条(基本原則)

「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用は、すべての国の利益のために、その経済的又は科学的発展の程度にかかわりなく行なわれるものであり、全人類に認められる活動分野である。月その他の天体を含む宇宙空間は、すべての国がいかなる種類の差別もなく、平等の基.礎に立ち、かつ、国際法に従つて、自由に探査し及び利用することができるものとし、また、天体のすべての地域への立入りは、自由である。月その他の天体を含む字宙空間における科学的調査は、自由であり、また、諸国は、この調査における国際協力を容易にし、かつ、奨励するものとする。」 

かつて光の速度を秒速30万キロメートルだと割り出されたとき、当時の物理学者は、それを宇宙という箱が絶対静止していることを基準にする速度だと考えていました。

しかしその後、光の速度は、どのような方向で計測してもいつでも秒速30万キロメートルであることがわかり、どうやら宇宙という家は、絶対的に静止などしていなさそうだと考えられ始めました。

やがてアインシュタインは、ガリレイ相対性理論にいう”あらゆる慣性系で力学法則が同じになる”ということばの”力学”だけを置き換えて、”電気や磁気を含めた物理法則が、あらゆる慣性系で同じになる”と提唱しました。

これがアインシュタインの考え出した特殊相対性原理なのだそうです。

そしてその原理で見た世界のなかで、もし光の速度が絶対的に30万km/sなのだとしたら、変わらなければならないのは光のほうではなく、”km”や”s”、すなわち空間や時間という概念のほうになります。

やがてアインシュタインはさらに世界を説明する一般相対性理論を打ち出すと、ニュートンの設定した絶対空間と絶対時間に代えて、時間と空間、物質は相互に影響しあっていることを証明したのだといいます。

それは重力によって時間も空間も歪められているという、驚くべき指摘でした。

のちにアインシュタインの方程式により膨張宇宙モデルが考え出されると、最初に遡れば宇宙は原子ほどに小さかったはずだと考えられ、この原初原子が爆発したことで宇宙が生まれたと考えられるようになりました。

のちに宇宙のあらゆる場所にビッグバンの証拠である「背景放射」が発見され、ビッグバン理論はその正しさが証明されることになります。

車椅子の天才理論物理学者、スティーブン・ホーキング博士は、宇宙の誕生以前には虚数(掛け合わせるとマイナスになる数)の時間が流れていたという驚愕の着眼を披露、”膨張宇宙において、膨張を開始する前の最初の一点はどうだったのか”という特異点問題を解決してみせたのだといいます。(以上参照:目からウロコの宇宙論―最新理論から宇宙の謎がここまでわかった!

ところで現実の宇宙のほうは、1957年に旧ソ連スプートニクが打ち上げられるとやにわに物騒になってきていました。

そのような中で急遽作られた宇宙条約は、宇宙憲章あるいは宇宙基本法ともいわれ、宇宙活動の基本理念を述べ、基本体制を敷いた重要な条約です。

その内容としては宇宙活動の探査、利用の自由、天体を含む宇宙空間が困家の領有の対象とならないこと、核兵器その他の大量破壊兵器を宇宙空間に配置しないこと、天体が平和目的のみに利用されること、宇宙活動から生ずる責任が国家に帰属することなどを定めています。(参照:解説条約集 2007 (2007) 三省堂

宇宙条約が地上から張り巡らされているその場所へ、数年後ホーキング博士は旅立つ予定です。

重力は、そもそも宇宙の開闢時から存在した原始の力が、最も早く枝分かれした力だと考えられており、その力は現在も質量を持つすべての粒子に対して働いています。

国家の思惑どころか、重力という宇宙の力まで手の届かない場所に浮かんで、天才はきっとまた面白いアイディアのことを私たちに教えてくれるはずです。

 

 

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