三宝の上で107条が光った

執行部批判くすぶる民主 永田氏は辞職を強く否定 (Yahoo)
民主党で17日、メール問題をめぐる永田寿康衆院議員党員資格停止中)の進退問題や執行部批判がくすぶり続けた。党内では永田氏について衆院懲罰委員会の結論を受けた段階で自発的に議員辞職すべきとの意見が強まっている。しかし永田氏は同日午後に「今の時点で(辞職は)全く考えていない」と明確に否定し、執行部は引き続き対応に苦慮しそうだ。」

国会法のをご覧下さい。

第107条

「各議院は、その議員の辞職を許可することができる。但し、閉会中は、議長においてこれを許可することができる。」 

国会は、わたしやあなたの代表が集まって、統一的な国家意思を形成していきます。

もし司法機関などからその内部事情の決定にいちいち司法の論理をもって干渉が許されたなら、代表者が集まって意思統一をしていくという本来の機能を果たし得ません。

そうならないためには衆院、参院の両議院に自律性が要求されます。

一方で憲法は、国会議員個人にも、いろいろな特権を与えています。

たとえば国会議員が身分を失う場合は辞職を含めた各条文に定められている場合に限られています。

したがって、上記の法定事由に該当しない限り、いくら批判される事由があっても、彼の地位に変動を与える手段はありません。

そこで、彼が議員でいることが不適当であると思われた場合、その所属する議院が議院自身の意思として彼に辞職を迫るのが、議員辞職勧告決議です(参照:新・国会事典 有斐閣)。

議院の身分保障原則に抵触しないよう、議員辞職勧告というものの効力は直接条文には記述されていません。

逆にいえば、決議をもって辞めろといわれた議員が、その決議を無視したような場合にはかえって議院の権威は失われることになります。

現実にこれまで辞職勧告を受けて、素直に辞めた国会議員はいませんでした。

これに習ったかどうか、いろいろな騒動で懲罰動議が何度もとりだたされてきた永田議員本人は、議員の身分保障を盾にまったく辞任する意思はないようです。

しかし国会議員の個人的な特権とは、そもそも議院の自律性を確保しようと憲法から付与されていたものだということを思い出してください。

なによりも議院の自律性を確保するという命題のために、国会法は必要な場合に身分保障を切り裂く107条という脇差しを用意しています。