ストックホルム人間環境宣言と留守番の高校生

ペットのウサギ、妊婦の妻の異変を夫に「伝える」(CNN)
「マーフィーさんはある夜、10ドル(約1100円)で買ったウサギが飼育おりの中でドンドンと音を立てたり、飛び跳ねたりして、異常な音をたてているのに気づき、目を覚ました。再び眠りにつこうとしたが、ウサギの騒音は止むことはない。その時、ふと妻を見たところ、妻が両目を見開いた状態で横になっていることに気が付いたという。すぐに救急車を呼んだ。」

ストックホルム人間環境宣言の第一宣言をご覧下さい。

Declaration of the United Nations Conference on the Human Environment

「1 Man is both creature and moulder of his environment, which gives him physical sustenance and affords him the opportunity for intellectual, moral, social and spiritual growth.」

(私訳)

「1 人は環境により生み出され、環境を形作る。環境は人に生きる術を与え、知恵や規律、心的成長を促す(以下略)。」 

ウサギというのは扱う人によってペットにもされれば、食用にもされ、ウサギにしてみれば人に対する態度を決めかねるところでしょう。

人間はこの地上で最強の生物ですが、いまだ他の惑星に人間と同等、あるいはより高等な生物が存在することを確認できていない以上、わたしたちはまるで両親のいない数週間、家に友達を招いてパーティを始めた高校生のような状態にあります(誰にも怒られない)。

放っておけば、家の中は散らかり物は壊され、いろんな部屋でいろんなことが勝手に起こりだします。

家を平穏にし、留守番の高校生自身が幸福に暮らすためには、決められた日にゴミを出し、整頓を心がけ、パーティ中には物がなくなっていないかをチェックし、大音量のアンプを持ち込もうとする友達にはこのエリアで生活できなくなるからと持ち込みを断らなければなりません。

わたしたちのような、よく地域のルールを知らない留守番の高校生が気を抜いたら最後、暮らしていくための環境は物理学上、自壊する方向に向かうことになっています(熱力学の第2法則)。

これに逆らって心地よく暮らしていくためには、いたずらに人間の利便や時代の好みだけを追求して地球という留守宅を改造すべきではありません。

なぜなら動植物の生命や自然環境など、地球の生態系がいったいどこでどうリンクしているのか、私たちが未だ完全には把握しきれていないからです。

1960年代には人は海や空気が希少な資源だと気づきはじめ、1972年にストックホルム国連人間環境会議が開催されました。

その会議で採択された宣言がストックホルム人間環境宣言です。

その文章の法的拘束性は弱くとも、そこでは人間にとって環境を欲望のまま食い散らかしてしまうことの科学的予言と憂慮がなされています。

あなたやわたしは環境保護運動をふぬけの戯言だとなどと早計に判断すべきではありません。

ウサギが人の危篤を知らせる事例も、わたしたち留守番の高校生には未だ見えていない、家が美しく機能するための知られざるルールかもしれないからです。
 

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