中村教授の請求額200億円の根拠条文

「青色LED訴訟、中村教授控訴せず」産経新聞

特許法の35条第3項をご覧下さい。

第35条(職務発明) 

「3 従業者等は、契約、勤務規則その他の定により、職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ、又は使用者等のため専用実施権を設定したときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する。」

以下は条文文言から立法趣旨を発行人なりに抽出したものです。

同条項は1項で会社財産を使って会社員が特許を発明した場合を職務発明と呼び、これを会社が使用する権利を公平に保護しています。

また一方で2項はそうでない発明を会社が強引に使用する行為を禁圧して発明という経済行為の保護を図っているようです。

さて問題は3項における相当対価の解釈です。

今回の判決は会社の利益を1200億円と算出し、その50%を中村さんの取り分としたようです。

会社と従業員の関係性は良くも悪くもここ2,3年において大きく変わってきました。

そのため、条文という形の変わらない型紙と、本来その条文を作った意図という立法趣旨の炎の距離は、時代により変わる要求される適用効果によって大きく動かす必要性があります。

そして結果としてあぶりだされる「相当対価」という効果も、そのかたちを大きく変えたのが今回の判決だと解釈できます。 
 


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