NPO:美しく細い指

山口県市長会、互助年金法人解散へ(NIKKEI NET)

山口県下の13市の元職員の退職金などを運用する財団法人「山口県都市職員互助会」が行う互助年金給付事業について、山口県市長会(会長・末岡泰義光市長)は、「公益法人事業になじまない」と判断し、同法人を解散する方針を固めた。来年8月に開く理事会で解散を決議し、2010年2月までに清算手続きを終了する。12月に始まる公益法人制度改革を前に、都道府県認可の社団、財団法人のリストラが本格化しそうだ。これまで、財団法人などの設立許可や公益性の判断は、主務官庁の自由裁量に委ねてきた。しかし、今年12月1日に施行される「公益法人制度改革三法」により、民間の有識者委員会が「不特定かつ多数の者の利益」の観点で公益性の有無を審査する。新制度への移行を前に市長会は、「財団は特定者の資金運用を手掛けており、存続が困難」と自主的に判断。2つの金融機関との運用契約を解除し、解散する。 」


公益法人認定法の第二条四号をごらんください。

 

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律

第二条(定義)

「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

四  公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。」


わたしたちの暮らす社会では、ますます価値観が多様化し、行政や一般企業では解決に手の届かない問題が数多く取り残されています。

そこでより柔軟な対応を提供できる存在として、民間非営利部門、いわゆるNPOの役割がますます認識を重くされています。

かつての民法34条は、公益法人の官庁による許可制度を定めていましたが、判断基準の不明確などに批判がなされていました。

そこで民法の制度を改め、行政が民間有識者からなる合議制の機関の意見に基づき、その公益性を認定するとともに、認定を受けた法人の監督を行う制度を創設し、民間部門での公益的活動をもっと促進しようということになりました。

これが公益法人認定法です。

そしていったん公益法人と認定がなされれば、社会的な信用が獲得され寄付等の支援が受けやすくなるばかりか、法58条によって税制上の優遇措置の適用を受けることができるようになります。

このような特例措置が適用されるため、公益法人認定法は公的目的事業を、「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」と定義しているというわけです。

このあたらしい秤を用いれば、”市の元職員の退職金などを運用する財団法人”では、この判断の範疇外となってしまうことになったわけです。

新しい基準を前にして戸惑っているのは行政機関も同じようですが、NPOという機能をわたしやあなたの社会に根付かせるためのシンポジウムも用意されています。

 

行政の太い指は、時に狭い隙間や難しい角度で救済を待っている問題までは、届かない場合があります。

そして今、公益法人という新しい社会実験が、新法の手厚い加護を用意され、たくさんの救済を待つ隙間へその指を伸ばそうをしています。

(参照:一問一答 公益法人関連三法