フリースクールを法律が見つめる間に、子供達は二度溺れた

経営者「18歳未満いない」とウソ、調査逃れる 京都フリースクール暴行(iza)

京都府京丹波町フリースクール丹波ナチュラルスクール」で入所者の少女(14)が虐待された事件で、昨年10月下旬に入所者の少年が脱走したのをきっかけに児童相談所が調査に入った際、経営者の朴聖烈容疑者(60)らが「18歳未満の入所者はいない」とうそをついて実態把握を逃れていたことが10日、府警捜査1課の調べでわかった。」

 

文部省初等中等教育局長通知第三三〇号別記の2(二)をごらんください。

(別記)

登校拒否児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

「2 出席扱いの要件

登校拒否児童生徒が学校外の施設において相談・指導を受けるとき、左記の要件を満たすとともに、当該施設への通所又は入所が学校への復帰を前提と し、かつ、登校拒否児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切であると判断される場合に、校長は指導要録上出席扱いとすることができる。

(二) 当該施設は、教育委員会等が設置する適応指導教室等の公的機関とするが、公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが 困難な場合で本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は、民間の相談・指導施設も考慮されてよいこと。ただし、民間施設における相談・指導が個々の 児童生徒にとって適切であるかどうかについては、校長が、設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断するものとすること。このため、学校及び教育委 員会においては、学校不適応対策調査研究協力者会議報告(平成四年三月一三日)に別記として掲げられている「民間施設についてのガイドライン(試案)」を 参考として、前記判断を行う際の何らかの目安を設けておくことが望ましいこと。」

 

 

わたしたちの憲法第26条第2項は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」と定め、”親”の就学義務を明記しています。

しかしながら教育の義務というのはあくまで親の義務であり、子供自身が学校へ不登校となったからといって、それが違法行為を犯していることにはなりません。

そもそもそれは子供達自身の制度であるからです。

よって子供が授業に出席する義務が履行を直接強制されるようなことはなく、また罰則で間接的に強制されることすらありません。

そこで不登校生徒を対象にした学校外施設として、いわゆるフリースクールが増加してきました。

フリースクールには法律がないとよくいわれますが、実は平成四年九月二四日、”通知”という現文部科学省による準法律行為的行政行為が発せられています。

それは「登校拒否問題が深刻化していることに鑑み、登校拒否児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受訪けている場合には、指導要録上出席の取扱いをすること」という各都道府県教育委員会教育長へあてた内容です。

これが文初中通知、第三三〇号です。

その趣旨は、学校復帰への懸命の努力を続ける子供の努力を学校として評価し支援するため、我が国の義務教育制度を前提としつつ、一定の要件を満たす場合に、これら施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとするものです。

ところで出席扱いとするための要件ですが、(一)学校と親がよく連絡をとること、(二)民間施設の指導が適切かどうかは校長が判断すること、(三)施設への通所又は入所を前提とすることを要求しています。

今回のニュースになったような、フリースクールの悲惨な暴走は、まさに出席扱いのために旧文部省が要求した追記要件の(一)(二)を、大人達が正常に機能させられなかった結果にほかなりません。

そしてもし、フリースクールという本来素晴らしい器を、わたしやあなたが法で上手く手当しないままながめ続けるのだとしたら、学校という制度に絶望した子供達への二度目の裏切りを渡すことになります。