巨大なおもちゃは先祖返りした

不要と言われれば退く覚悟はできている B-CAS社 代表取締役社長 浦崎宏氏(ITpro)
BSデジタル放送の限定受信システム(CAS)として登場し,2004年に地上デジタル放送などのコピー制御にも広く採用されてから,デジタル放送によるテレビ視聴に欠かせないアイテムとなったB-CASカード。発行元であるビーエス・コンディショナルアクセスシステムズB-CAS社)はそれ以降,事務所就業者数20人程度の小規模所帯でありながら,一躍重大な社会インフラを担う存在となった。一方,その役割の大きさと会社規模のアンバランスさ,不透明な収支構造などに対し,ネット上などではさまざまな噂や批判の声が絶えない。」

放送法の9条9項をごらんください。

「9 協会は、放送受信用機器若しくはその真空管又は部品を認定し、放送受信用機器の修理業者を指定し、その他いかなる名目であつても、無線用機器の製造業者、販売業者及び修理業者の行う業務を規律し、又はこれに干渉するような行為をしてはならない。」


わたしたちの国が戦争に負けるまで、その放送は無線電信法により規正されていましたが、その第1条には「無線電信及無線電話ハ政府之ヲ管掌ス」と規定されていました。

戦後、こうした国家の管理があまりにも強い無線電信法は改正を強く要請されました。

日本の放送事業は昭和25年放送法が制定されるまで日本放送協会が独占的に行っていたのです。

昭和20年8月15日、日本は戦争に負けると、昭和21年には総司令部民間通信局から逓信次官に対し放送法を民主的に改正し、軍の統制、影響の痕跡を永久に除去するよう指示がなされています。

逓信省は総司令部民間通信局の指示を受けて、昭和21年11月事務次官を会長とした臨時法令審議委員会を設け通信関係法令の改正に着手しましたが、戦前から存在した日本放送協会に独占放送を続けさせようとするその案はたびたび却下されます。

その後紆余曲折を経て、放送法案は昭和25年4月26日の衆議院本会議で可決され、成立したのです。

日本放送協会はこの新放送法により、あらたに法人格を与えられて民主的な機関として再出発をしています。

終戦直後、日本のあらゆる局面がそうだったように、”国民は国家に管理されるため生まれてくる”という思想を徹底的にその体系からふるい落とすには、多分に漏れず外国による重ねてのゆさぶりが必要でした。

さてそうしてその姿を現した戦後の新しい放送法ですが、その第9条は、協会が行う業務の範囲等についてを規定しています。

そしてその9項は、無線用機器の製造業者、販売業者及び修理業者の行う業務を規律し、又は干渉してはならないことを規定しています。

これは、受信料を財源とする公共的機関である協会がその支配的地位を利用し、民間事業者を支配し干渉することを禁じたものです。

具体的には放送用機器、部品の認定を行い認定製品以外は調達しないなどの措置を講ずることにより製造業者を支配すること等を禁じています。

いうまでもなく、それは戦後に生まれた放送法が徹頭徹尾、放送の民主化、つまり国家の管理からの隔離という目的の為に生み出されているからに他なりません。(私見)

もし日本放送協会が後ろ盾になって設立された民間企業が受信料を徴収するために、「公共放送の万人の受信」を作為的に妨げる機器を審査しているのだとすれば、そもそもの放送法の成り立ちから顧みて、9条9項違反になることは明白だといえます。

 
 

(以上参照)