国立公園に落書きして、後始末は帰国という魔法に任せた

アノ人気グループ、公園に落書き…事務所も開き直り (zakzak)
「若手人気グループ「AAA」(トリプルエー)の女性メンバー、伊藤千晃(20、顔写真)が、米国・メリーランド州ボルティモアの記念公園に落書きして帰国していたことが4日までに分かった。ブログで犯行の決定的証拠をアップしたことからブログは炎上し、ネットで批判が集中している。所属事務所は夕刊フジの取材に落書きは認めたが、「処分は考えていない」と開き直りともいえる仰天の言い訳を連発した。」

米国国立公園の共通禁止事項、36CFRのPART 2、RESOURCE PROTECTION, PUBLIC USE AND RECREATION をごらんください。

Code of Federal Regulations, Title 36,

Preservation of Natural, Cultural and Archeological Resources

「(a) Except as otherwise provided in this chapter, the following is prohibited:

(1) Possessing, destroying, injuring, defacing, removing, digging, or disturbing from its natural state:

(i) Living or dead wildlife or fish, or the parts or products thereof, such as antlers or nests.

(ii) Plants or the parts or products thereof.

(iii) Nonfossilized and fossilized paleontological specimens, cultural or archeological resources, or the parts thereof.

(iv) A mineral resource or cave formation or the parts thereof.」

(私訳)

「(a) 例外を除き、以下を禁止する。

「動植物、角、巣、木、化石、岩、鉱物、建物、大切な資源の所持、破壊、破損、落書き、撤去、採集、採掘」 

(以下参照:U.S.A.ナショナルパークハイキング案内 清水健 山と渓谷社

全米57ヶ所にある国立公園は、1916年発足したナショナルパークサービス(国立公園局)が管理しています。

その基本姿勢は、以下の三つの理念に寄って立っています。

(1)後世のために十分な自然環境を保護、維持する。

(2)野生生物を観察し、レジャーやリクリエーションのために利用する。

(3)公園内での活動は、人々の総意に基づくものとする。

そしてナショナルパークを訪れる人達の入園料が、これらの活動の重要な財源となっています。

それらの理念をひもとけば、各国立公園に共通する第一ルールの立法趣旨が、”自然を自然そのままの状態に保ち、人的作用を加えないこと”にあるのは容易に図り知れます。

実際レギュレーションは、冒頭条文に続き、ゴミを残さないこと、渓谷等へ投石しないこと、生命体を持ち込まないこと、狩猟や野生動物への挑発行為をしないこと、騒音などを建てないことなど、デリケートな禁則を設けています。

人を圧倒する”大自然の美しさ”という客体は、1872年、世界最初の国立公園であるイエローストーンナショナルパークがつくられてから、ついには連邦政府が立法によって保護するという段階にまでに人間という主体の意識を成長させてきました。

いずれにせよ自然環境の保護という概念は、地上の生物のなかでわたしたち人間だけが受け止められるものです。

しかし同じように、自らのあずかり知らぬ空間ではどこまでも傍若無人になれるのもまた、わたしたち人間の拭えない特質だといえます。

 

 

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