ホームレス支援で全国組織設立 対策強化を国に提言へ (共同通信)
「ホームレス支援に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)などが9日、多様化するホームレス問題に対応するため「ホームレス支援全国ネットワーク」を東京都内で設立、自立支援センターの機能見直しや相談窓口拡充などを求め、国に提言することを決めた。提言は(1)従来は入所型だったセンターを通所でも利用できるようにする(2)センターのない地方都市のホームレスの支援を充実させる(3)再び路上に戻らないよう長期間サポートする-などが柱。」
生活保護法の11条をごらんください。
第11条 前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給又は併給として行われる。」 |
(以下参照:知っていますか?ホームレスの人権一問一答)
もしわたしやあなたがリストラや倒産などで、突然部屋の家賃を払えないほど生活に困窮してしまった場合、わたしたちの最後の頼みの綱は国の公的扶助、つまり生活保護のはずです。
事実生活保護法の11条は、生活、教育、住宅、医療、介護、出産、生業、葬祭の扶助を事細かく認めています。
文面上、私たちの生活を襲う不意の事態に対する公的バックアップは抜かりがなさそうです。
しかし、実際には、ホームレスが福祉事務所の窓口を訪れても、「住所がない」「稼働年齢だから」という理由で、申請さえも受け付けられないという場合が、これまでは大半でした。
そのような対応になる原因として縦割り行政の弊害が指摘されています。
つまりこれまで所得を失ったことに対する金銭的給付である所得保障は、労働災害保険と失業保険として発展してきました。
一方で生活保護のほうは、もっぱら労働問題以外の、長期疾病、障害、高齢、母子家庭などのケースに対応するようになっていました。
したがってわたしたちの身にもし倒産、リストラなどによる失業がふりかかっても、その生活の保護は、失業保険やハローワークなど労働行政が担当する問題だと考えられてきたのです。
そのため、もし稼働能力がある場合、どれほど生活に困っていようが、窓口が生活保護を申請させることは、ほとんどありませんでした。
厚生労働省はホームレスや支援者などから起こされた訴訟の判例をうけて、野宿生活者に対する生活保護の適用問題について、一九九〇年代後半から「稼働能力があるからといって、また、住所がないからといって、保護の要件を欠くわけではない」と全国の福祉事務所を指導してきています。
しかしまだまだ、この指導はいきわたっていません。
地方都市では、支援グループがアパートを借り上げ、野宿者が、そこを居所にして生活保護を申請するという方法が取られています。
そして居所があれば、稼働年齢でも申請が受理されます。
東京など大都市では、野宿者を入所させる民間の宿泊所が急増しています。
宿泊所というのは、社会福祉事業法にもとつく施設で、本来は、住宅に困っている「低所得」の人のための施設ですが、生活保護で生計を立てている生活保護受給者を入所させてもよい、というガイドラインを敷いている自治体も多く、最近、急増したこれらの宿泊所では、野宿者を入所させて生活保護を申請させているのです。
通勤時にターミナル駅で家を失った人達をみて、あなたはどこか不愉快に感じているかもしれません。
しかし制度を上手く稼働させられていない状況の中には、本来参政権をもってやわらかく働きかけることができるはずの、あなたやわたしの責任の一端も見つけられます。
なによりもホームレスという立場は、ある日仕事を失ったり、理由も分からず勤労意欲を維持できなくなった明日のわたしやあなたでない保障はどこにもないのです。
家がない人達が十分保護されていないその光景は、そうとは名乗らずにわたしたちに提出されている宿題でもあります。