同性を愛する誇り高き人々

<結婚式>同性愛者の元大阪府議、女性パートナーと公園で  [毎日新聞]
「元大阪府議で同性愛者の尾辻かな子さん(32)が来月3日午後4時半、名古屋市中区栄4の池田公園で女性パートナーとの結婚式をする。誰でも出席できるよう公園で式を挙げることにした尾辻さんは「現在の日本では、同性をパートナーとする人々が公に祝福されることなく隠れて暮らし、法的な保障もないことを多くの人に知ってほしい」と話している。尾辻さんは現職の府議だった05年8月、全国の都道府県議で唯一、同性愛者であることを公表。現在は講演活動などをしており、今夏の参院選で、民主党公認の比例代表候補者となっている。」

憲法の14条をごらんください。

第14条

「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。(以下略)」 

同性愛者に対して、東京都があきらかに差別的態度を見せた有名な事件として、「東京都青年の家事件」というものがあります。

それは同性愛者の団体がであり同性愛者の人権を考えるための活動をしているメンバーが団体の趣旨を説明した上で、同施設に宿泊したところ、入浴中に少年サッカークラブの小学生数名に浴室を覗かれて笑われ、朝食時には「ホモ」「オカマ」と言われたほか、青年キリスト教団体のメンバーからも同様のことを言われたことからはじまりました。

そしてその後同団体は、他団体との摩擦を懸念され宿泊予約を拒否されることになりました。

東京高裁平成9年9月16日判決は、異性愛者を前提とした男女別室宿泊の原則を同性愛者へ機械的に適用して、同性愛者団体の宿泊利用を一切拒否することは、同性愛者の利用権を不当に制限しており、それは実質的に不当な差別的取扱いであるという都へのきびしい指摘を残しています。

都には同性を愛する人達に対して、行政が本来備えるべき意識の萌芽さえ存在していなかったというのが10年前の段階でした。

ところで憲法14条が同性愛者に憲法的保護を与えるためには、同性愛者という立場が文言にある「社会的身分」と言えるかどうかにかかっています。

自分の意思次第で差別を受けないで済むものなら保護の必要性は低いので、14条にいう社会的身分とは、自分の意思では脱却できない地位のことをいうと考えられます。

そして最近の社会科学は、同性愛という立場を選択的な性的趣向の問題ではなく、より生来的な問題であると解明しつつあります。

もしそのことがはっきりとした証明を得たならば、それは自分の意思で離脱できる、できないの範囲には収まらなくなり、当然に社会はそれを”身分”であると呼ぶことが要求されます。

そしてその場合は、憲法14条自身のためにも、同性を愛する人達を保護する価値は十分にあるのです。[参照:別冊ジュリスト No.186 (186) 憲法判例百選(1) 第五版 有斐閣]

事実婚において意外に不便なのは公的サービス面ではなく、企業サービス面だといわれます。(公的サービス面では意外に解釈の伸張が行われます)

生命保険の受け取りや住宅購入のための融資、クレジットカードや携帯電話、インターネットプロバイダの家族会員などの拒否に会うことが多いといいます。

そうしたものが克服され、同性を愛することに誇りが高い世界とは、あなたもわたしもそのオリジナルな生き方に誇りが持てる世界だということと意味を同じくしています。

 

 

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