重婚というクラシカルなゲーム

細川ふみえ重婚疑惑否定も恋愛感情あり(朝日新聞)
「タレント細川ふみえ(35)が29日、TBS系情報番組「サンデー・ジャポン」に生出演して重婚疑惑を否定した。細川は23日発売の写真週刊誌に、7日にサイパンの教会で、妻子のある不動産会社社長A氏(44)と挙式したと報じられた。番組ではサイパンには写真集の撮影リハーサルを兼ね、A氏の会社の社員旅行に同行したと説明。「挙式のようなことはしたが、本当の挙式ではなかった」と、リハーサルの一環で交換した指輪も返したという。」

民法の732条をごらんください。

732条(重婚の禁止)

「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。」 

わたしやあなたの暮らす国でも、江戸時代まで正当的夫婦関係の別に不特定多数の妾との配偶を副次的夫婦関係と認める一夫多妻制が採用されていました。

明治維新政府は妾と妻は等しくこれを二等親とし、妾にも戸籍に記載する道をつけるなどむしろ公認する方向さえとりました。

それは約130年前の話ですが、やがて国際的な外聞のため、妾制度は廃止されることになりました。

高柳真三の「明治前期家族法の新装」によれば、明治十五年に施行された一夫一婦の単婚制により、はじめて近代的様式をもった婚姻法の第一歩を踏み出したのです。

これ以降、妾契約のような周辺の請求はことごとく民法90条、公序良俗違反として退けられることになっていくのです。

わたしたちの国では書類によって結婚をみとめる主義を採用していますので、これが二重に登録されるような事態は起こりがたいのですが、海外に赴いて婚姻し現地の大使館に届出をなしたような場合にチェックミスで重婚は起こりえます。(法令8条2項、13条1項但書)

そしてそのような重婚が悪意でなされれば、刑法によって二年以下の懲役が待っています。(184条)

重婚を認めていた時代の思想背景には、正当夫婦関係に子供が生まれなければ福次家族関係で家の世継ぎを確保するという、男系社会と家制度が大きく関わっていたと思われます。

一定割合の女性が事実上の重婚という状態に参加することで、潜在的に男系社会が維持されてしまうという伝統芸が、現代まで脈々と受け継がれているのかもしれません。

 

 

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