魔法の国の救急車が交差点をパレードする

TDR救急車が衝突、横転/女子中学生ら4人軽傷四国新聞
「18日午前10時25分ごろ、千葉県浦安市舞浜の交差点で、東京ディズニーリゾート(TDR)を運営する「オリエンタルランド」所属の民間救急車がトラックと衝突した。救急車は横転し、乗っていた中学3年女子3人=いずれも(15)=と同社の女性看護師(26)が、あごなどに軽いけがを負った。浦安署の調べでは、救急車が赤信号で交差点に進入、右側からきたトラックと衝突した。女子生徒の1人が発熱したため、付き添いの2人を乗せて病院に搬送中だった。3人は神奈川県茅ケ崎市から東京ディズニーランドに遊びに来ていたという。」

消防救の第116号別添1指導事項の9をごらんください。

消防主管部長あて消防庁救急救助課長通知

「9 車両の外観

患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈していないこと。」 

民間救急車は、「民間患者等搬送事業」と呼ばれ、消防庁の指導基準に基づいています。

消防署にある救急車への出動要請は毎年増加しており、その中には必ずしも救急車の赤色灯による交通法規外の通行を必要としないケースも数多く存在します。

そのため消防庁は一定の基準を定め、患者等搬送事業を指導する際の基準として、消防救第116号により、患者等搬送事業指導基準と、指導基準に適合する事業者を広く住民に公表するための事務処理基準として患者等搬送事業認定基準を示しました。

これにより消防機関による患者等搬送事業に対する指導が全国的に開始されたのです。

よって民間患者等搬送事業者は、消防機関の認定と指導を受けることを条件に運行されていることになります。

しかしそれは救急車と全く同じ路上の権力を付与されている車ではなく、消防救第116号によれば、民間救急車にはサイレンや赤色灯を使うことが許されていません。

民間救急車はあくまで緊急性を伴わない患者さんの搬送を行う事業であり、赤色灯とサイレンで通常の交通法規を曲げることをわたしやあなたが許した消防署の救急車両とは同じでないからです。

*追記

読者の方から、以下のようなご指摘のメールをいただきました。

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今回事故を起こしたオリエンタルランドの「救急車」は、ご指
摘のような「患者等搬送用自動車」ではありません。
この自動車は、同社が千葉県公安委員会緊急自動車「救急用
自動車」としての届出を行い、受理された道路交通法上の「救
急用自動車」です。したがって、外観は白色で赤い帯があり、
サイレンも警光灯も備え、患者の状況に応じて、緊急走行や通
常走行を行っています。

法的な根拠は素人で判然としませんが、緊急自動車であること
は間違いありません。(道交法上の届出が許されている「医療
機関」として扱われているのかな?)

ちなみに、現在はTDLTDS用に各1台、計2台を保有(このうち
の1台が今回の事故の当事者車両)しています。
また、緊急性を伴わない医療機関等への搬送については、通常
のワゴン車などを改造した車両(8ナンバーですが当然緊急自
動車ではありません)数台も併せて配備されています。

なお同社は、消防用自動車(ポンプ車)も緊急自動車としての
届出を行い保有しています。

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オリエンタルランドの救急車は厳密には新聞記事中にあるような”民間救急車”などではなく、公安委員会から許可を受けた正式な緊急自動車だということです。

丁寧なご指摘どうもありがとうございました。

追記の上修正させていただきます。

 

 

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