ファルマコン:魔力の草

愛知・蒲郡の中2転落死:タミフル処方を調査 輸入販売元に情報請求--厚労省毎日新聞

「生徒は16日朝、市内の医院でインフルエンザと診断されタミフルを処方された。1人で自宅にいた同日午後0時45分ごろ転落。同県警蒲郡署の調べで、タミフル1錠がなくなっていたことが分かっている。」

薬事法の69条第1項をご覧下さい。

第69条(立入検査等)

厚生労働大臣又は都道府県知事は、医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療機器の製造販売業者、製造業者、第14条の11第1項の登録を受けた者、医療機器の修理業者又は(条文略)に基づく命令を遵守しているかどうかを確かめるために必要があると認めるときは、当該製造販売業者等に対して、厚生労働省令で定めるところにより必要な報告をさせ、又は当該職員に、工場、事務所その他当該製造販売業者等が医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療機器を業務上取り扱う場所に立ち入り、その構造設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは従業員その他の関係者に質問させることができる。」 

(以下参照:新・薬と社会と法 法律文化社

すべからく薬というものには、副作用が存在しています。

しかし不良とよべるほどの副作用が疑われる薬があれば、厚生労働大臣都道府県知事などは、69条により関係者に対して必要な報告を求めたり、立ち入り検査をすることができます。

そして製造や輸入の承認を与えられた医薬品が承認拒否事由に該当するときは、厚生労働大臣は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その承認を取り消さなければなりません。

また再審査、再評価に際し、定められた期限までに資料を提出しなかったり、不正な資料や基準に適合しない資料を提出したときは、承認の取り消しまたは承認事項の変更を命じられることがあります。

なお、承認を取り消された場合は、製造や輸入の許可は取り消されたものとみなされます。

ギリシャ時代、現在のドラッグという言葉の起源であるとされるファルマコンという言葉が、”薬品・毒薬、あるいは魔力を持つ植物”という意味で使われています。

19世紀にはゼルテュルナーが阿片からモルヒネを抽出し、薬は工業製品時代に突入しますが、薬に効能と同時に弊害が存在するという側面はいつの時代も変わっていません。

かといって薬の研究・発展は社会にとって不可欠であり、わたしたちはいたずらに立ち止まるわけにはいきません。

そのため法はあらかじめ薬がもたらす危害の拡大を警戒し、より慎重な対応方法を用意しています。

あとは製薬関係者がどこまで誠実に情報を開示するつもりがあるかが、薬事法の実効性を担保するはずです。(私見)

 

 

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