鵜匠から自由になるため、鵜は道州と名を変える

道州制3年で道筋 安倍氏、総裁1期目「公約」(西日本新聞)
安倍晋三官房長官は2日、松山市で開かれた自民党四国ブロック大会で、政権構想に盛り込んだ道州制導入について「次の任期中にだいたいの骨格を決めることが大事だ」と述べ、首相に就任した場合、総裁1期目の任期3年の間に実現への道筋をつける取り組みを進める考えを示した。」

地方分権一括法の第一条をご覧下さい。

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律

「第一条 地方自治法の一部を次のように改正する。
(中略)
第一条の二 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。」 

これまで知事や市町村長を単に国家の「機関」と見なす考え方のことを機関委任事務制度と呼んできました。

これにより道府県、いわゆる地方は国の出先機関としての事務にその仕事の七割以上、市町村でも三割以上が出先機関としての仕事に占領されてきたといいます。

法学上、なんら国家と上下関係にあるわけでもない地方自治体は、学問を離れた現実の世界では機関委任事務制度によって、完全に国家に頭の上がらない立場に絡めとられていたわけです。

その構図は戦争に負けて焼け野原となった国家を復興させていくため、中央のエリート達、官僚に強烈なリーダーシップを与えていくという場面では奇跡的な効果を上げさせてきました。

しかしここにきて官僚が国家を事実上牛耳っている現在の制度は、わたしやあなたの暮らす社会のあちこちから腐臭を上げ始めています。

許認可権と財が中央に集められ、その配分は官僚の気分一つ、そして与党政治家がその蛇口を開けるのだとすれば、我が田にこそ水を引きたいという人々が今日も政治家の秘書に現金を届けるという泥沼は、力関係が変更されない限り埋めようがありません。

このため2000年4月、霞ヶ関が地方を絡め取っていた地方自治法その他475本もの法律を大改廃する地方分権一括法が施行されています。

その最終的目的地が中央の機嫌を伺わない、地方の自立した姿である道州制です。

霞ヶ関はせっかく滞留した権力を上手く保存するため、悪気なくそのシャープな頭脳を駆使して今日も天下りの上手い道を探しています。

道州制への道付けは、一般的には何もしなかったような印象の細川政権地方分権推進法制定公約に端を発し、羽田政権の行革推進本部設置、小渕内閣の法案閣議決定小泉首相の地方制度調査会への道州制諮問など歴代首相らの仕事のバトンによるものです。

あとのバトンをどう渡すかは、わたしやあなたの想像力に任されています。



*参照:県庁がなくなる日 金子仁洋 マネジメント社