冷凍みかんの憲法成分表

「冷凍みかん」に熱~い歓声(スポーツニッポン)
「22日に静岡エコパスタジアムで行われたJリーグ「清水エスパルス浦和レッズ」の直前イベントで「冷凍みかん」というユニークな曲が演奏された。同県出身の大倉沙斗子(24)がリーダーを務める女性3人組バンド「GTP」が登場し、エスパルスと同じ“みかん色”のTシャツ姿で「冷凍みかん 冷凍みかん 冷凍みかん4個入り」と元気よく熱唱。3万人以上集まった客席からも手拍子が鳴った。」

学校給食法の第6条をご覧下さい。

第6条(経費の負担)

「学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、義務教育諸学校の設置者の負担とする。

2 前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費は、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第22条第1項に規定する保護者の負担とする。」 

わたしやあなたが暮らす国の憲法の26条1項には、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定されています。

これを抽象的に「教育を受ける権利」と呼んでいます。

そして教育を受ける権利の具体的内容の1つとして、26条2項には義務教育が無償で受けられる権利が定められています。

ところでこの義務教育の”無償”という言葉の範囲には学説上の争いがあります。

ひとつにはそれは授業料の無償を意味するのだと考える説、今ひとつには文字通り一切の費用を無償とすべきなのだと考える説です。

世界的な流れとしては、教育に関する費用は一切を無償としているのが主流なのだといわれます。(それどころか、学生はほとんど医療費を払わなくてよい国もあります)

我が国の最高裁昭39年2月26日判例によれば、26条2項にいう義務教育の無償の意味は、保護者から国が義務教育を提供することに対価を徴収しないという意味なのだという解釈を明らかにしています。

つまりそれは純授業料の不徴収を意味し、その他経費は親が負担しても憲法には違反しないのだということです。

国家以外に、親にも一定範囲の教育の自由を肯定する以上、教育のコストも一定程度負担してもらうことには合理性があるというのがその根拠のひとつです。

学校給食法もその6条で、学校給食における施設やその経費、学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、義務教育諸学校の設置者の負担とし、それ以外の学校給食に要する経費は、学校給食を受ける児童や保護者の負担とするのだと費用を分担しています。

学校給食は明治22年、山形県で貧しさに苦しむ子どもたちに小学校が昼食を与えはじめたのが日本におけるそのはじまりだといわれています。

敗戦後の日本中が飢えに苦しんだ焦土の時代を耐え、昭和29年には国会で「学校給食法」が成立、公布されています。

給食といえども教育に関わることが法律で決められるのは重要な意味を持ちます(これを教育法律主義と呼びます)。

それがなければこどもたちの教育は、国家の中枢に座った人達の思惑次第になりかねないからです。

学校給食の定番デザート、冷凍みかんを歌った歌が、印象的リフレインをもって全国的な流行の兆しをみせはじめています。

それを口の中で一生懸命とかしていた当時は気がついていませんでしたが、実はその冷たい房の片割れは国家が、もう片割れは親が分担していていくれたことにも今のわたしたちなら思い至ることができるのです。

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