エビスグランドボウルのトランジスタシスと自然のホメオスタシス

「エビスグランドボウル」が閉館-34年の歴史に幕(シブヤ経済新聞)
「3月31日、恵比寿駅西口近くのボウリング場「エビスグランドボウル」(恵比寿南1)が閉館した。閉館は、建物や設備などの老朽化によるビルの取り壊しに伴うもの。同ボウリング場は、ボウリングブーム真っ只中の1972年5月、同所で製材工場を営んでいた東京木工所が、自社ビルを使ったレジャー事業の一環として開業したもので、1991年3月からは、施設と同名の子会社に運営業務を委託していた。同館は地上5階地下2階SRC造で、延べ床面積は5,498平米。2階・4階・5階の3フロアに計34レーンを設けるほか、レストラン・喫茶やバッティングセンターを備えていた。解体工事は9月末日まで行う。その後の建替計画は未公表。」

建設リサイクル法の第9条をごらんください。

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

第9条(分別解体等実施義務)

「特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が第三項又は第四項の建設工事の規模に関する基準以上のものの受注者又はこれを請負契約によらないで自ら施工する者は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなければならない。」  

解体作業現場において、部材別に仕分けせず、重機で一気に建物を取りつぶしてしまう手法のことをミンチ解体といいます。

ミンチ解体された建築物はリサイクルのしようがなく、その末期の多くが山間部などへの不法投棄につながっていました。

平成14年から本格施行された建設リサイクル法は、この不法投棄を防ぎ、リサイクルできる部材を社会に有益に流通させるため、ミンチ解体方式を禁止しています。

リサイクル法は、手作業による解体や、手作業と機械作業の併設方式等により分別解体を行い、廃棄物を適正に処理させることを趣旨としています。

一定規模以上の建築物解体工事や建築物その他の工作物に関する建設工事については、コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4種類に分別し、計画的に工事を施工しなければならないと法9条で定められています。

さらには分別解体等に伴って生じた特定建設資材の廃棄物について再資源化を図ることも義務付けています。

もはや自然が無自制な産業廃棄物を受け入れるほど基礎体力をなくしていることを、建設リサイクル法は憂慮しているものです(私見)。

西口の坂を登りはじめるとすぐにあった割と地味なボーリング場、エビスグランドボールが静かにその歴史に幕を閉じました。

その坂を登りきればもう少しでサッポロビールが10年展開するエビスガーデンプレイス

人がその集う場所に要求する要素は時代の嗜好とともに変遷していきます。

恵比寿に十数年住む私も一度しか投げたことのないボーリング場でしたので、その場所の遊技場としての使命は確かにもう終わっていたかもしれません。

建設リサイクル法の立法趣旨のように、山手線恵比寿駅のホームからよく見えるその場所も、きっと無駄なく生まれ変わるのだと思います。

 

 

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