氷山がほたるの光を歌う夜

南極の海に「歌う氷山」 独研究チームが観測(CNN)
南極大陸周辺の海に浮かぶ氷山の1つから、歌のような音が出ている――。ドイツの研究者らがこのほど、3年前に観測した珍しいデータを発表した。そのままでは人間の耳で感知できないが、高速で再生すると、オーケストラが演奏前にウォーミングアップしているような音に聞こえるという。」

南極条約の第4条2項をご覧下さい。

第4条

「2.この条約の有効期間中に行なわれた行為又は活動は,南極地域における領土についての請求権を主張し,支持し,若しくは否認するための基礎をなし,又は南極地域における主権を設定するものではない。南極地域における領土についての新たな請求権又は既存の請求権の拡大は,この条約の有効期間中は,主張してはならない。」 

南極地域の法制度は、南極条約がその基本をなしますが、ドイツが行ったような南極における研究活動は、その南極条約の2条、 3条によって保障されています。

別に氷に覆われた島の研究など、誰がどうやろうが問題ない気もしますが、南極という厳しい環境の氷土は、世界の有力国がその権利主張を古くから激しくぶつける土地でもあります。

それを証明するように、南極条約の第四条が各国の領土権を一旦”凍結”しています。

南極条約を締結したのは、アルゼンチン,オーストラリア,ベルギー,チリ,フランス共和,日本,ニュー・ジーランド,ノールウェー,南アフリカ,ロシア,英国、そしてアメリカです。

厳しい自然環境ゆえ、いまだ手つかずの謎を多く残す地球の端、南極を取ることは、各国にとってまるでオセロゲームで「角を取る」ように戦略上、非常に重要な意味をもっているかのように見えます。

そして現在は南極条約のもと、各国はその椅子を一寸たりとも動けなくなった椅子取りゲームのプレーヤーのごとく領土主張問題を一応棚に上げて平和的研究に協力しあっているところです。

そうした状況の中、ドイツの研究チームが南極の氷山が歌う歌を発見したのだというニュースが聞こえてきました。

そしてそれは人間の耳には聞こえない方法により、まるでオーケストラのオーバーチュアのような音を奏でているのだとか。

そうとするといざオーバーチュアが終わったときに、やはり人の耳には聞こえない方法で南極全体からどのような演奏が始まるのか想像してみるのも面白いかもしれません。

せめてさんざん陣取りゲームをし尽くした人類に向い、地球閉店の合図としてのほたるの光が南極から聞こえてこないよう、ボーダーを超える進化を人が手に入れられていたらいいなと思います。



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