ドンキホーテの絶叫マシンと非確約型ロボットアーム

ドンキ六本木店、屋上に「絶叫マシン」 渦巻く反対(朝日新聞)

「量販店「ドン・キホーテ」(本社・東京都江戸川区)が、都心の六本木店屋上に建設中の「絶叫マシン」型の遊戯施設が論議を呼んでいる。12月下旬の営業開始予定だが、騒音などの環境悪化を嫌う地元商店街の組合は反対の請願を港区議会に出し、採択された。同社は環境に配慮したとして理解を得ようとするが、今のところ平行線だ。」

憲法の16条をご覧下さい。

第16条〔請願権〕

「何人も,損害の救済,公務員の罷免,法律,命令又は規則の制定,廃止又は改正その他の事項に関し,平穏に請願する権利を有し,何人も,かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」 

ラスベガスあたりでは、ビルの中をジェットコースターが走っていたりしますので、ドンキホーテが六本木をラスベガス的に認知していれば、ビルの屋上にコースターを設置することはそんなに突拍子もないこととはいえません。

そういう認知の仕方からすれば、「六本木にジェットコースターを設置して古い価値観をひっくり返す」とも主張ができるでしょう。

問題はこれまでその商圏でビジネスをしてきた人達が、同じように六本木をラスベガスと捉えて営業しているかどうかです。

場合によっては、もっとCHICに考えているかもしれません。

こうなると、両者の利益を衡量するには法律となりますが、港区建築基準法施行細則はその13条2項においてジェットコースター等に定期報告を義務づけているのみで、ビルにコースターの設置を禁止はしていません。

建設を進める側は法規に違反はないといい、行政は工事の進展をただ見守るしかないことになります。

こんな行政のなりゆきに対して、国民が行使できる方法のひとつが、今回組合の行った港区議会に対する「請願」です。

請願権は憲法上の権利であり、一般人が行政に問題提起できるイレギュラーなツールです。

請願は、行政に国民の意思に基づいた行動を義務づけるものではありませんが、請願がなされればこれを受理し、誠実に処理しなければならないことが請願法5条で定められており、やはり意見を直接行政に伝えることができるという点で、重要な意義を有します。

なんなら請願権の仕事とは、その実効性よりも、「国家の主権がわたしやあなたひとりひとりにもあることを明示している」ところにこそあるとでもいえます(私見)。

実際にコースターの建築が中止されるかどうかの結論は、請願権という効果の約束されていないロボットアームがどう働くかに託されています。

法理メール?

Copyright © 2005 恵比寿法律新聞