検索エンジン:新しい時代の王

「胡散臭い」と検索すると…亀井氏トップ(日刊スポーツ)
「ヤフーによると、検索エンジンは、その用語を含むHPをユーザーが求める有用度をかんがみて結果を表示する。その用語を含むページからリンクをはられていてもカウントするという。今回の場合も、第3者が「胡散臭い」を含む複数のHPから亀井氏の公式HPに無許可でリンクをはったものとみられる。IT業界関係者は「頻度の低い言葉を使って検索エンジンの上位にヒットさせるゲームがはやっている」と話す。」

著作権法の2条1項7号の2をご覧下さい。

第2条 七の二 (公衆送信)

「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいう。」

検索エンジンにいかに上位表示してもらうかを競う技術のことをSEO(Search Engine Optimization)といいます。

それはタイトルタグだったり、キーワードの配置の仕方だったりいろいろな手法が検索エンジンアルゴリズムを推測しながら行われています。

推測しなければならないのは、気が遠くなるほど存在するWEBページのなかから検索エンジンを使って商業ページが消費者に見つけてもらうことは、即売り上げに直結するため、対策されて有益な検索結果をだせなくなることを恐れる検索エンジン側がいつもそのルールを秘密にしているからです。

SEO対策の一つとしてトップページへの「キーワードリンク」という手法が古くから用いられています。

この時、自分のページがダイエット商品を扱っていたならば、「ダイエット」というキーワードからリンクが張られていると、検索エンジンのロボットは被リンク先を「ダイエットに関するページらしい」と判断、そのリンク数が多いほどダイエットというカテゴリーのなかで上位表示するのだと推測されています。

亀井静香氏のページが大量のページから「胡散臭い」というキーワードでリンクを貼られたとすれば、検索エンジンのロボットは亀井静香氏のページを「胡散臭いページ」のカテゴリートップにしてくれることになります。

ただこれは他人のページに無断でリンクを張っているため、通常「無断リンク」と呼ばれる問題が浮上してきます。

WEBページ間のリンクに「無断」がつくことには、非常に抵抗感を感じるユーザ層と、むしろ積極的にリンクを遮断しようとするユーザ層がありますが、このときリンクを嫌う人達が主張するのが、「それは著作権法で保護されている公衆送信権を侵害する行為なのではないか」という理論です。

しかし誰かが駅の方角を道で尋ねられた時に、アチラですよと指さしただけでは駅の公衆送信権を侵害したとは到底思えないのと同じ理屈で、著作権法2条1項7号の2「公衆送信」によってはリンクを「無断だ」と断罪することには一般的にムリがあると考えられています。

そもそも本来テッド・ネルソンがあらゆる知識を自由にしようとしたハイパーテキストという思想は、リンクに「無断」をつけようとする心根とは逆方向の熱伝達を原動力にしています。

その思想は、書物(TEXT)という地上でもっとも重要な財産を心から愛する人達によって長い時間をかけて発展させられてきました。

今ではTEXTどころかMONEYさえも0と1の電気信号に置き換えられ、その結果、無数のページのなかから首尾良く目的の電気信号(WEBページ)を見つけ出してくれる有名検索エンジンは現代の新しい王になろうとしています。

キーワードリンクが王の機嫌を首尾良く取るか、はたまた謁見に来た者同士の諍いの種になり城の外に追い出されるのかの鍵は、全ての観念が二進法になっていくことの理由の熟考にこそ潜んでいます。

法理メール?