億万長者の恋人と肖像権

西村美保「ホリエモンと破局」否定(livedoor)
ライブドア堀江貴文社長と交際中のモデル・西村美保が、プロデュースを務めた東京・マルイシティ渋谷店内のセレクトショップ「inCeleb.com」で27日、トークショーを行った。」

民法の709条をご覧下さい。

第709条〔不法行為の要件と効果〕

「故意又は過失に因りて他人の権利を侵害したる者は之に因りて生じたる損害を賠償する責に任ず」

西村美保さんは記事中のネットショッピングサイトのエグゼクティブ・プロデューサーなのだそうです。

インセレブ・ドット・コムではハリウッド女優2人が手掛けるアクセサリーブランドなどが手がけられているのだとか。

そもそもセレブは、セレブリティ、(celebrity)、すなわち政治家や俳優などの著名人を指す略語だったはずです。

転じて現在の日本の女性の間では、高級な服飾や優雅な食事を許された有名人女性を捉えてこう呼んでいるように見受けられます。

本来の意味で英語圏にいうcelebrityは、人的アクセスが集中する利益と引き替えに、パパラッチにその私生活を撮影される危険にも常にさらされています。

その意味で肖像権のなかで、特に著名人が保持する財産権としての肖像権に近いものを英語圏ではright of celebrityと呼びます。

日本ではこれを特にパブリシティ権と呼び、一般人ももつ肖像権である人格権とは区別します。

right of celebrityは、著名人の私生活をのぞき見る写真が掲載されただけで雑誌の売り上げが伸びることから、財産権的な性質が自然、強調されます。

またネットショップが現在日本で最も耳目を集める人である堀江貴文さんの彼女、西村美保さんをエグゼクティブ・プロデューサーに担ぎ出すことだけで、これだけネット上に名前を露出させることに成功していることからも、人的アクセスが集中する人の周囲にリンクを張ることは、それだけで利益の確保が約束されたことと同義です。

それゆえに通常人の精神的権利としての肖像権と重なるところはあろうとも、有名人であるセレブレティの肖像権たるパブリシティ権は、より現金に近い性質の権利と言い切ったほうが性質をよく表現できるかもしれません。

そしてこれらの問題はすべてプライバシー権という概念によって法的には争われることになりますが、これを守るのは通常民法709条だといわれます。

条文中の「他人の権利」という文言のなかに、プライバシー権を読み込むわけです。

西村美保さんは、すでに超有名な人とのおつきあいで有名で、ビジネス的利用価値もある以上、セレブリティといわれる人なのかもしれません。

そしてセレブである西村美保さんはその人的アクセスを無断で現金化、すなわち私生活などを不当に撮影され雑誌販売に利用されたら、民法 709条が西村美保さんの不当に奪われた金銭的損失を奪い返す仕事をすることになります。

そもそも民法709条〔不法行為の要件と効果〕という条文は、金銭賠償を前提にしている以上、経済的侵害に対しては非常に直裁的な解決法なのですから。
 
 

法理メール?