ダンスフロアに涅槃の調べが響く

エイベックス子会社、O-ZONEの「恋のマイアヒ」着うたダウンロード数が100万件を突破日経新聞

「東欧モルドバ共和国出身の3人組O-ZONEは、2002年にルーマニアで音楽活動を開始。2003年に発表した「DRAGOSTEA DIN TEI(恋のマイアヒ)」(アルバム「DISCO ZONE」収録)がスペインで注目されたことをきっかけに、ヨーロッパ全土で大ブレイクし、シングル・アルバムを合わせてヨーロッパ中で400万枚をこえるセールスを記録。」

憲法の第19条をご覧下さい。

第19条〔思想および良心の自由〕

「思想及び良心の自由は,これを侵してはならない。」

古代インドでは神と会話するバラモン、王などのクシャトリア、庶民のバイシャ、そして人以下であるシュードラという四つの階級が定められ、これは子孫代々永遠に変わることがないと信じられていました。

インドの小国、コーサラの王子シッダールタは、人の老病死の苦しみにとりつかれ、29才の時に妻子を残して修行僧となりました。

ただ悟りをバラモンにしか許さない聖典、ベーダの教えにはなじめず、6年の間独自に断食など自分に厳しい修行を課してきましたが、いっこうに苦しみを解消する答えは得られませんでした。

そんなときふと道行く村人達が口ずさむ歌の歌詞が耳にとまりました。

「琴の弦は締めすぎても、緩めすぎても良い音がでない・・・」

ハタと何かを気づいたシッダールタは、大きな菩提樹の下に座ると厳しいだけのそれまでの修練とはちがって、静けさに身を置いて自分の中に悟りを求めはじめました。

そして何日目かの朝、シッダールタは全ての苦しみを生む”執着する心”から自由になる方法を悟りましたが、これが仏教の開祖、ブッダの誕生だといわれます。

心のかたちの自由を特に明言しているわたしたちの憲法19条は、実は諸外国にはないとても珍しい条文です。

外国にないものを私たちの国に用意しなければならなかったのは、戦争に負けるまでの私たちの国では、治安維持法などにより国家警察が内心にどんどん踏み込んできて、心が自由な形であることさえもゆるされなかった歴史があったことが原因です。

それ以後60年、憲法19条によりわたしたちは物を考えることだけはどんなものでも自由にすることを保障されてきました。

O-Zoneルーマニア語で歌う「Dragostea Din Tei恋のマイアヒ)」を和訳すると「菩提樹の木の下で(恋人を想う)なのだとか」。

菩提樹は一般に、ブッダが厳しさだけを求めてきた古い聖典や、自分自身の古い観念からより自由になり、心を解放して最終回答を得た場所を象徴しています。

(菩提とはそもそも悟り、涅槃を意味します。)

神との会話方法が国家神道であろうと、リグ・ベーダであろうと、それを強制することで幸福が得られないのは、紀元前五世紀のインドであっても、21世紀の日本であっても同じであることを表現するように、祝福のメロディが今日もダンスフロアに流れています。

法理メール?