御巣鷹から20年たって、翼はまた火を噴いた

窓越し火『落ちる』爆発音、震える乗客

「「落ちると思った」「よりによってこんな日に」。日航機墜落事故二十年の十二日、福岡空港を飛び立ったばかりの日航子会社「JALウェイズ」の翼が火を噴き、飛び散った部品が住宅やグラウンドに落下し、五人が軽いけがをした。」

航空法の104条1項をご覧下さい。

第104条(運航規程及び整備規程の認可)

「本邦航空運送事業者は、国土交通省令で定める航空機の運航及び整備に関する事項について運航規程及び整備規程を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。」 

航空法の立法目的は、いうまでもなく空を飛ぶ鉄の船の離陸と着陸を万全にすべく、航空事業の適正運営を確保しようとするものです(1条)。

その104条でJALのような航空事業者は整備に関するルールをあらかじめ定め、国に黙ってこれを変更することは許されていません。

空を飛ぶ船からボルト一本落とされては困るからです。

記事によれば破損したのはタービンブレード。

ブレードといえばあのジェットエンジンの口のところで鋭く回転している刃のことであり、それがバードストライクでもなく自然破壊するがごとくは、故障箇所として航空法の精神からも決して見過ごすことはできません。

航空法が防がんとするのはまさにそうした事態であるばかりか、タービンブレードといえばそもそも鉄の船をとばすための根幹の部品だからです。

そしてそれがために104条1項は、航空事業者が国に届ける整備規程に整備設備や器具、方式、方法、装備品の限界使用時間などを事細かに決めさせ、しかも事業者に勝手にそれを動かすことを許していないのです。

20年前の昨日、JALのジャンボは原因不明の爆発を受け、操縦士のみなさんの驚異的な奮闘と技術による制御もむなしく御巣鷹の尾根に激突しました。

機長らの与り知らぬ原因であった以上、真実が如何様な原因であろうとも「原因を作った者に激突させられた」というのが表現として正確でしょう。

御巣鷹の悲劇を知る当の会社が、にもかかわらず航空法104条を軽視する態度は、空への信頼を深く長く切り裂くものです。
 

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