「フジテレビジョンの村上光一社長は22日の定例記者会見で、人気グループ「NEWS」メンバーの少年(18)が酒に酔って保護された問題に触れ、少年と飲酒したフジの菊間千乃アナウンサー(33)が「近々(未成年者飲酒禁止法違反容疑で、宮城県警の)事情聴取を受けると聞いている。きちんと対応させる」と述べた。」
未成年者飲酒禁止法の1条2項をご覧下さい。
第1条〔未成年者の飲酒禁止〕 「2 未成年者に対して親権を行う者、もしくは親権者に代りて之を監督する者未成年者の飲酒を知りたるときは之を制止すべし」 |
飲酒をとりしまる法律はざっくり思いつくだけで未成年者飲酒禁止法、刑法の危険運転致死傷罪、道路交通法、そして酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律なんてものあります。
法律は効用の反面、アルコールが社会に与える害悪を十分了知しているようです。
ではなぜ人はアルコールやタバコなど、依存の深い口を開けている嗜好品にとても強く惹かれるのでしょうか。
たとえばアルコールですが、まず胃腸で吸収されたあと、血に溶け込んでやがては脳に到達します。
するとアルコールは脳の神経細胞にへばりつき、脳の働きに強制的にサイドブレーキをかけて麻痺させます。
さらに具体的にいえば網様体が麻痺することで、普段前面に出ている理性的な大脳皮質が仕事をあきらめ、抑制されていた本能的な大脳辺縁系の活動ががぜん活発になるのです。
酔いが爽快な体験なのは、この麻痺によってあなたの野生が解放されるからです。
そしてアルコールが小脳まで麻痺させはじめると足下がふらふらしはじめ、ついに海馬にまで至れば精神機能の障害である心神喪失という状態に陥り、最終的に脳全体を麻痺させてしまうと死亡します。
血中で運ばれたアルコールで自ら脳を軽く麻痺させること、それこそが「酔う」という遊びの正体で、「お酒はほどほどに」とは正確には「麻痺を脳の深部にまで至らせるな」という警告です。
(お酒を愛する方々には非常につまらない説明で申し訳ありません)
そのためどれほどお酒という文化に精通した人でも、アルコールを習慣的・継続的に深く摂取することで脳にダメージを与える可能性はご指摘になっているところです。
「上質な麻痺の味も知らずに、何の人生か」というご意見もおありでしょうが、少なくともこれから人生を始める未成年に対して成年女性がアルコールを勧めることは当該未成年のこれからの可能性を大幅に削ってしまう危険性があります。
未成年者飲酒禁止法の1条2項が大人の態度を戒めているのも、そういう趣旨だと解せます。
彼の人生をこれから演算していくのは、彼女の一時の享楽のために法を乗り越えて麻痺させられた、彼自身の大切な新旧大脳皮質なのですから。