相撲協会というギルドの会員証は105枚

貴が週刊文春で激白、元凶はオフクロ(Yahoo)

「故二子山親方が名義人になっている年寄株「二子山」の証書が所在不明になっている問題で、貴乃花親方は9日朝、民放の取材に対し、「(証書がある場所は)おおよそわかっている。私の目の前に見えないので、きちんとやらなければならない」と発言した。」

民法34条をご覧下さい。

第34条〔公益法人の設立〕

「祭祀,宗教,慈善,学術,技芸其他公益に関する社団又は財団にして営利を目的とせざるものは主務官庁の許可を得て之を法人と為すことを得」  

日本相撲協会は現在、財団法人に認定されています。

財団法人とは、一定の目的にささげられた財産に対して権利能力を与えられたものです。

そこには社員や社員総会がなく、寄附行為に従って、理事が意思決定、業務執行、対外代表の仕事を行います。

より公益性の高い集団に対して、営利を追求する社団法人と同じルールを適用するのは必ずしも好ましくない場面があるため、民法が特別のくくりを設けたもの、それが財団法人です(私的定義)。

しかし社員も想定されていないということは、通常の利益調整に関する法律が及ばなくなる場面が多くなるため、同じ財産と人のかたまりでもそれが社団法人とされるか財団法人とされるかで、利害関係をもった第三者の立場も大きく異なることになります。

よって財団法人の認可は民法34条で厳しく限定されています。

ただその入り口が狭くとも、いったん認可されればその後の運営についてそれが営利なのか非営利なのかのグレーゾーンの判断は運営する理事らに任されることになります。

このため数ある財団法人や、あるいは NPO団体のなかには単に営利法人の潜脱ではないかといわれる集団も存在しています。

これを逆に言えば、ひとつの集団が自らを聖域のように、通常取引法で扱われたくないと考える時は、財団法人やNPOを目指すことが利口な選択にもなります。

今回、年寄株という、あまり聞き慣れない証書が二子山部屋から紛失しているということで騒動になっていますが、年寄株とは要するに財団法人日本相撲協会のメンバーであることを証明する会員証であり、その実質は部屋の経営権や、協会に集まった収益の分配を受ける権利を表しているようです。

相撲ギルドの会員証と言い換えてもいいかもしれません。

かつて相撲人気がそれほど高くなかった時代には、限られた業界収益を仲間内外に出さないための限定席数の定めがほかならぬ年寄株だったようですが、約20年前からの相撲人気に伴い、そのささやかな趣旨だった限定席数は、いつか数億円で取引されるようになったのが実態だといわれます。

証書の紛失騒動とは、話を分解すれば、協会に集まった「相撲人気」の取り分に関するもめ事ということになります。

元に戻って考えれば、財団はその財産を運営して寄付行為を続けていくために法人格を認められていたはずでした。

そうであるならば、原資である「相撲人気」が先細りしそうな兄弟げんかが毎日TVで放映されている事態にこそ、法が想定した財団の機能が期待される場面かもしれません。
 

 
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