民法は婚姻の届け出を待っている

獅童&結子が結婚!既に妊娠も?

「人気歌舞伎俳優の中村獅童(32)と、売れっ子女優の竹内結子(25)が結婚することが9日、明らかになった。」

民法の45条1項をご覧ください。

第45条〔法人の設立登記〕

「1 法人は其設立の日より主たる事務所の所在地に於ては2週間,其他の事務所の所在地に於ては3週間内に登記を為すことを要す」

(意訳:会社は登録しなければ、危ないので社会から会社として扱われない)
 

当たり前ですがあなたが好きな人と結婚するという行為はとーっても昔、法律なんてできる前から人が自然にやっていた習俗です。

しかしその上で民法は、二人の人間が夫婦になることについていろいろ必要な条件や、夫婦になったら負わなくてはならない義務なんかについていろいろ定めています。

なぜ「空気を吸ったら、適時後に吐かなければならない」とか「歩行中右足を出したら、すかさず左足を出さなければならない」とでもいうような法律でも必要なごとく、人の自然な婚姻という行為が大々的に法律で定められているのでしょう。

特段意味がないのなら、「別にお互い好きなんだから、紙切れなんてどうでもいいじゃないか」という彼の言葉通りでいいのかもしれません。

民法「第2節 婚姻の効力」以降には、たとえば第752条に「夫婦は同居し,互に協力し扶助しなければならない。」などと、旦那さんが遊びほうけているときは法律を持ち出して裁判所に叱ってもらえるような結婚による法律的権利・義務が書かれています。

結婚届は集団に権利義務の主体になる能力を与えるという意味で45条の法人の登記にとてもよく似ている法技術なのです。

反対に言えば、中村獅童構成員と篠原ともえ構成員がなんらかの同好会を作ったとしても、届けがなければ団体自体には権利義務を享受する能力は発生しません。

こういった権利義務主体にならない集団を「権利能力なき社団」と呼びますが、これが男女間にあっては「内縁関係」です。

起業した人だれもが社会的信用を求めて法人格を欲しがるように男女関係も社会で公式に登録されると、特段の社会的信用が集団自体に与えられます。

民法が結婚という自然な行為に各種の規定を与えているのはこの意味で本人達のためでもあり、同時にそれは彼らの結束度を信頼して関わる社会の安全のためでもあります(私見)。

あなたには婚姻届を恋人の言葉通りにファンタジックに認識する道もありますし、法律的に正確に解釈する道もあります。

しかし男女であれ、ビジネスの集団であれ、これを内部から見れば、一定期間様子を見ることは大切ですから、正式な届けを出すまでは権利義務主体にならないという余地が設けられていることには意味があります。

(結婚にあってはこの余地が設けられていることを法律婚主義と呼びます。)

なによりも、民法は篠原構成員と中村構成員が互いに望んだ時でなければ、結婚や法人格という権利義務を与えないことを原則としているのです。

それを意思主義と呼びます。
 

法理メール?