台湾総統、パンダ受け取りに否定的…国内取引扱い警戒(読売新聞)
通称ワシントン条約の第3条3項の(b)をご覧ください。
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 第三条 (附属書1に掲げる種の標本の取引に対する規制) |
憲法98条2項は、「日本国が締結した条約及び国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定しています。
この協力的な日本の友好的ご近所づきあいの基本姿勢は憲法の国際協調主義とよばれています(憲法前文)。
日本はワシントン条約に1980年に批准していますので、パンダを贈られるためにはワシントン条約に定められた環境が要求されます。
台湾にパンダを世話する施設がないなどとにわかには信じられませんが、台湾側の趣旨は「これはワシントン条約が関係するお話である」→「つまり台湾と中国は国際関係にある」→「台湾は独立国家である」というところの表現にあるように見受けられます。
共産党との争いにやぶれ、中国からでていった蒋介石らが台湾で発展させたのが中華民国です。
最初国連では、中国を治めていた中華民国政府に戦勝国の椅子(常任理事)を用意しましたが、その後毛沢東の中華人民共和国政府を中国代表として承認したことをうけ、中華民国は国連を脱退、かわって、中華人民共和国が戦勝国連合(国連)の常任理事国になりました。
このときから台湾は形式上、国家ではなくなっています。
しかし共産主義の敗北が事実上明らかになり中国本土の経済成長が滞っていたのに対し、長い戒厳令を解き自由化を急いだ台湾は奇跡的な経済成長を遂げました。
レーニンは資本主義経済の末期においては、自国経済のはけ口として他国を植民地、すなわち新しい消費層として囲い込む争いになると喝破しました。
(これを帝国主義論といいます。)
台湾が長年受けてきた他国(中国やオランダ、日本など)からの支配の構図がまさしくこれです。
「二つの中国」問題は、中国本土の農民を圧政から解放した毛沢東の亡霊と、軍閥として追われた蒋介石の亡霊が共産主義と帝国主義の代理戦争でも続けているかのようです。
共産主義を採用する大国はもはや中国だけになりましたが、逆に帝国主義のほうは世界各地で植民地の独立運動が続いたことを受け、よりソフィストケイトされた形に変容しています(穀物メジャーを見よ)。
パンダはワシントン条約における附属書Ⅰに属し、国際取引によって絶滅のおそれが生じている種とされますので原則国際間の商業ベースの取引を禁止されています。
しかしパンダ自身が一番希望するのは、パンダを「イズム」のカードにする必要がなくなる時代をわたしたちが作って、静かに山の中で竹を食べる生活なのだと思います。
法理メール?