検察官が代理裁判官になる日

3歳児はねた主婦を起訴 横浜地検 発生から2年8カ月(朝日新聞)
「三女の両親が担当の副検事(当時)への不信感を訴え、後任の検事は捜査の長期化について両親に「遺憾の意」を示していた。 」

刑事訴訟法の247条をご覧ください。

第247条

「公訴は、検察官がこれを行う。」

検察官には下から副検事、検事、検事長、次長検事、そして検事総長という位があります。

247条によって私たちは直接に公訴の提起をすることはできません。

検察官だけがこれを行え、これを起訴独占主義とよびます。

起訴独占主義は公的正義(検察官)が感情に流されず総合的見地で決定するので、私たちの国の司法作用が公正になることから採用されています。

しかし検察官といえども一個の人間に任せることは独断と専横を発現させる可能性があります。

今回の横浜地検副検事による処理、暴言はまさにその問題が現実化した事例です。

私たちの手にはこれに対する対抗策が握られています。

まず刑事訴訟法260条が「告訴人等に対する事件処理の通知」を、261条が「告訴人等に対する不起訴理由の告知」を検察に要求します。

次に検察審査会法2条2項が検察を審査する機関、検察審査会への申し立てを行う権利を保障します。

そして検察庁法7条から10条に基づいて上級検察官の指揮監督権の発動を促す申立も可能です。

問題は検察庁法25条が、普通の公務員以上の特に厚い保護を検察官にはあたえているため、これらの武器が検察官にとってほとんど脅威にならないことです。

そのため私たちは今日も不当な不起訴のニュースに接することになります。

検察はその昔、裁判官と同じ雛壇上にいた、弁護士より一段上の存在でした。

現在は分離され形上弁護士と同等ですが、国家の機関であることにかわりはなく、法務大臣を通して政府の意向が影響する可能性さえあります。

するとあなたが被害者になったイザという時、不当な不起訴で泣かないためのより根源的解決法とは、次回の選挙では決して棄権などせず、よりよいと思われる代表に投票しておくことかもしれません。

自ら政府の形成作用に間接的に関わったという意識さえあれば、どんな行政(起訴・不起訴)も民主主義の帰結として甘受できる心理的余地が望めるからです。
 

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