バス窓から小6転落、ひき逃げされ死亡 焼津の東名高速(朝日新聞)
刑法の第1編第7章をご覧ください。
第7章 犯罪の不成立及び刑の減免 「第35条(正当行為) 第36条(正当防衛) 第37条(緊急避難) 第38条(故意) 第39条(心神喪失及び心神耗弱) 第40条(削除) 第41条(責任年齢) 第42条(自首等)」 |
どれほど予測想定外の事態が起ころうとも、ドライバーには道交法72条1項前段によりその後の救護措置が科せられています。
そしてこれに背いた時は道交法117条により5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
かつて在日米兵が人をはね、そのまま屋根に乗った被害者を、同乗者が路上にひきずりおろして死亡させ、死因がどちらの行為にあるのか不明だった事件がありました。
最高裁第三小法廷は同乗者の行為を「われわれの経験則上当然予想しえられるところであるとは到底いえず、したがって業務上過失致死の罪責をとえない」として不測の事態のからむ結果の責任をドライバーに取らせることを否定しました(昭和42年10月24日)。
この考え方を相当因果関係説と呼びますが、このとき最高裁が引用したのが第7章です。
刑法はあなたが関係した全ての結果の責任をなにがなんでも追及するようには設計されていません。
それは憲法の要請による人権保障的機能でもあり、7章の趣旨もそこにあります(私見)。
よって状況がどうであれ、目の前に生命の危険があるときは、その人命をまず救護することを各法はあなたに要求します。
もちろん法律論を出ても、いくら気が動転しようがとっさのときに人として正しい行動がとれるかどうかは、ひとえに育ちにかかっています。
育ちといっても物心ついてからずっと、人が見ていないところであなた自身がとってきた行動の蓄積の全てのことであり、時として人格と呼ばれるものの話です。
小さな命のご冥福をお祈りします。